宝石みたいな女の子 人生で早く忘れちまいたいのに思い出してしまうことがいくつかある。
最近では妹の結婚式だ。それはもう豪華にしてやった。しょぼい式なんてブラウンテイルの名折れだからね。
「初恋は実らないなんていうけれど――」
何度も直しに出して最終的に私が叱り飛ばしたドレスに身を包んだ愚妹は高らかに宣言した。
「そんなことないわ! だってあたしはユカタンと結婚できたんだもの!」
まったくおめでたい愚かな妹だ。これからの新郎の気苦労が偲ばれる。
疲れ果てた私にユカタンは気を使ったが、祝われるのはお前だと、酒をたらふく注いでやった。
まあ初恋なんて子供の愚かさの発露も同然だ。
あの出来の悪い妹はいつまで経っても子供のままだということで。けれどもそれは幸運だ。
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