Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    Caltea

    (多分三代目)

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💜 💮 🎈 ❣
    POIPOI 9

    Caltea

    ☆quiet follow

    自分のために書いたもの…
    中身はありません。外身だけです。
    ゲーム内本編その他諸々全然絡んでません。
    In Hell We Live, Lament(Mili)聴きながら書いたため歌詞を少しばかり引用させていただいております…
    全て妄想。なんでも許せる方のみ!!!

    #ファウダン

    痛いの、痛いのまどろみから、束の間覚めた。
    頭が痛かった、朝から。
    カチコチ、チクタクとしかものを言うことを許されない、この時計の頭にも痛覚があるのが憎い、とダンテは思っていた。




    「ダンテ」

    誰かが呼んだ。
    ああ、もう彼らは死んでしまったのか、と思い、ダンテは自身の針を掴み、反時計回りに巻き戻す。

    自らが引いたはずの一線なんて、とうに地の底へと下がってしまった。
    自らの中の正義もエゴも、とっくに今の状況を受け入れた。

    痛みが走った。
    十二人の囚人達が死ぬほどに受けた痛みを、十二の死を、一身に。

    〈あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っ゙ 〉

    叫びは全て針の音に変わり、なんの悲痛さも生み出せない。

    カチコチ、チクタク

    十二人の囚人は背を見せ戦っていた。
    もう、あんなに真っ赤になって。

    針を乱暴に掴み、ぐるぐると巻き戻す。
    痛くて呼吸なんてできやしないのに、知らないなんて、自分のこと…

    感じるはずのない涙が、そこにあった。




    「ダンテ!」

    目を覚ます。
    ファウストだ。
    さっきのは夢だったのか。

    「ダンテ、うなされていましたよ。どのような夢を見ていたのかは知りませんが、ファウストはここにいます。」

    えっという風に、ダンテが自分の手元を見ると、ファウストの手をがっちり掴んでいた。そこで漸くダンテは、目が覚めてから一度も上げてない顔を上げた。
    〈ファウスト、泣いているの?〉
    ダンテはファウストの目尻を撫でる。ファウストはそれを拒絶することなく受け入れた。
    「苦しそうな貴女を見ていたら。」
    それだけ言うとファウストは、自身の目尻を撫でているダンテの手を優しく掴む。
    「ダンテ、いつからなのでしょう。ファウストは貴女の苦しむ様子が辛くて、貴女を殺さないようにしてきました。」
    殺さないように、というのはつまり、ファウストが死なないように、ということだ。
    「ダンテ、貴女に苦しんでほしくありません。」
    ファウストが言う。そしてダンテの頭をそっと撫でた。
    「痛いの、痛いの。」
    飛んでけ。そう言う頃には、ダンテの頭痛は嘘のように消えていた。
    代わりに胸に、つかえを残して。


    ダンテに目があったのなら、彼女は間違いなく、その瞳を潤ませているだろう。

    ダンテに声があったのなら、彼女は間違いなく、掠れた声でファウストの名を呼んでいるだろう。



    まあ、なくても気付くというのがファウストである。

    「今日はずっと一緒にいましょうか、ダンテ。」
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works