軋む身体をベッドに共倒れ同然に倒れ込んだツバサとショウは、距離を詰めて見つめ合った。
仕掛けたのはツバサからだった。ショウの唇を奪いゆっくりと啄むキスを何度か繰り返して唇を舌先で舐める。
先の喧嘩で切れた唇が痛みショウは眉を顰めた。
御多分に洩れず殴り合いの喧嘩に発展した二人は勝敗のつかない勝負に不毛さを感じお互いの仲間が見守る中納めて二人でこの部屋に戻ってきた。
艇の中で割り当てられた部屋で何故か二人が一緒にされていて、誰かの意図を感じたが深くは追求はしなかった。
とはいえ違う族の総長が同じ部屋で過ごすなんて普通じゃ考えられない。
おまけに、この二人の関係は特殊である事は一部の仲間は知っている。
なんだかんだで適度な距離感を持って接していたが、ある時を境に身体を重ね合わせる関係になっていた。
一般的な恋人同士の戯れとは違う、特別な感情が裏に渦巻いているが、お互いそういう話は大っぴらにはしない。
だが、わかっている事は一つ。
こうして抱き合う関係である事は嫌いじゃないし寧ろ好きだと思う。
人から好かれて嫌な人間なんてそうそういないだろう。
障害がある方が燃える、なんてどこの誰かが言っていた気がする。
そんな事を思いながらツバサはショウの服を剥ぎ取って肌を弄る。相変わらず白い肌には先程出来た青あざが点々と残っている。
「どうしたツバサ。さっさとがっついたらどうだ?」
「馬鹿。ボロッボロなくせに煽んな死ぬぞ」
「俺は不死身だ。それに夜王の俺に遠慮は…」
「それ何千回と聞いたわ。自分で夜王とかいうの恥ずかしくねぇの?」
「全く。事実だからな」
絶対身体中痛い筈なのに出てくる言葉は強気でツバサはいつも少しくらい乱暴でも平気だと錯覚してしまう。
それでも自制しながら行為を進めるツバサを眺めながらショウは感傷に浸る。
潰す勢いの激しい喧嘩とは一変、ツバサのまるで女性を扱うような優しいセックスに時折気が狂いそうになる。
性器を擦られている間も口付けは止める事はなく続けられていて、触れ合っている安心感を感じてしまう。
そこに深く入りすぎてしまうといけない気がしてショウはツバサを押し離して挿入を促す。
まだ慣らしていなかった窄まりに指をゆっくりと潜り込ませ、ざらつく部分を何度も擦った。
ぐちゅ、と音が立ってきたところで2本目の指に解れた内壁を押し潰される。
分泌された体液が掻き混ぜられる感覚にショウの口から少しずつ喘ぎが漏れる。
「っん…はは…どうした、早く挿れたいんだろう?さっさと押し込んだらどうだ?」
「だから出来っかよ。ケツ切れたらどうする」
「今更…いらんそんな気遣いは」
「なんで、お前はそう……」
隠しているつもりなのだろうか、余裕のない事はショウの表情に現れてきているというのに。
絡みついてくる内壁がひくりと蠢き前立腺を引っ掻く指に反応する。
ゆっくり指を引き抜けば糸を引いて離れていき、解された後ろは閉じないままだ。
ツバサは自分の反り上がった性器を擦りながらそこに押し当ててショウの顔を見る。
(なんて顔してんだよ)
感情を押し殺しているような、平気な顔を装っているようにツバサには映る。
いつもそうだ。
側にあるはずの温もりを跳ね除けるかのように急に冷たくなる。
だが、それさえも見て見ぬふりをしている自分も許せない気持ちに駆られてしまい、ツバサは頭がごちゃごちゃになる。