どうにか溜まっていた書類仕事も片付き、執務室で休憩を取っていた。
ずっと今日1日書類と向き合っていた為酷く疲れた。これが機体の調整とかなら、1日でも疲れること無く出来るんだけどなぁと独りごちる。
「⋯⋯なにか飲もう」
執務室には飲み物をいつでも飲めるようにシンやルナマリア達がコーヒーや紅茶など色々と準備してくれていた。
「何を飲もうかな⋯⋯いつもなら紅茶だけど⋯⋯たまには」
そう言って手に取ったのはコーヒーのパウチ。ドリップ式のそれをコップに差し込み、お湯を注ぐ。
コーヒーのいい匂いが部屋に拡がる。
入れ終わって、1口飲んでみるとあまりの苦さに眉を顰める。
丁度その時、ピピっとコール音が鳴りスライド式の扉が開いた。
「⋯⋯なんだ、書類仕事は終わったのか」
「あ、アスラン。お疲れ様。ちゃんと終わったよ」
ミレニアムに来ていたアスランが、キラが書類仕事をしていると誰かに聞いたのだろう。
「そうか。手伝おうと思ったが、必要なかったな」
少し残念そうに笑うアスランに、あははとキラも笑う。
「⋯⋯コーヒーか? お前いつの間に飲めるようになったんだ?」
「あー、いや、飲めるわけじゃないんだけど⋯⋯」
「貸してみろ」
そう言ってアスランがキラの手に持ってきたカップを取る。備え付けの冷蔵庫からミルクを取り出し温める。元々カップに入っていたコーヒーをもう1つ別のカップに少し移して、温めたミルクをそれに注ぎ砂糖を2つちゃぽんと入れた。
「ほら、カフェオレなら飲めるだろ」
スプーンで混ぜながらキラにカップを渡してくれた。
「⋯⋯よく覚えてるね。砂糖2つ」
「キラの事なら分かるよ」
ふっと笑ってアスランがキラが飲んでいた残りのコーヒーを飲んだ。
「⋯⋯苦くないの?」
「別に? まぁキラは苦いのは苦手だろ?」
「むー⋯⋯どうせ僕はお子様舌だよ」
拗ねた顔をするとアスランが困った様な笑顔を浮かべた。
「せっかく入れ直したんだからキラも飲めよ」
「⋯⋯うん。ありがとう」
アスランが入れ直してくれたカフェオレはキラ好みの甘さだった。
こくりと1口飲みまた飲もうとした時、いきなりアスランにキスをされた。
びっくりして固まっていると、直ぐにアスランは離れていった。
「⋯⋯甘いな」
「⋯⋯苦い」
それぞれの口に感じた感想をそのまま言って、2人で笑った後飲みかけのカップを机に置き、また深くキスをした。