#イザキラ_ワンドロ
以前ディアッカから言われた言葉を思い出す。
「なんかさぁ、イザークお前ストライクに惚れてるみたいだな」
「はぁ!? 貴様何をふざけた事を!!」
「いやいや、だってさ、そこまで執着するなんてお前らしくないぜ?」
「ふん! 俺が落とすと決めただけだ! ストライク、必ず俺が撃ち落としてやる!」
「はぁー、まぁいいけど」
今はいないディアッカの言葉が頭に響く。
「くそっ!」
ダンっとロッカーの扉を叩きつけ、パイロットスーツから赤の軍服に着替え、自室へ戻るとベッドに寝っ転がる。
「くそっ。あいつは一体なんなんだ!」
今思い出してもイライラする。
足つきを落とせる。
そのタイミングで現れた見知らぬ機体。足つきを守るようにその機体はザフト、連合関係なく武装のみ剥いで行った。
普通の人間には出来ない芸当だ。
ナチュラルはおろか、コーディネーターだってそんな事が出来るやつはそう居ないだろう。イザークとて無理だ。そんな面倒な事。コクピットを狙う方が早いからだ。
「⋯⋯やつは、俺を殺せるはずだった⋯⋯なのに」
コクピットに迫るビームサーベル。ただ死を感じ、叫ぶしか無かったのに寸前の所でずらされ両脚を持っていかれた。
全身に衝撃が走る中聞こえた、新機体に乗っているであろうパイロットの声。
まだ幼さの残るそれが、イザークの心に残った。
『やめろと言ったろ!? 死にたいのかっ!』
『早く脱出しろ! もうやめるんだ!』
その言葉がずっと頭を駆け巡っていた。
会ってみたい。自然とそう思った。
助けられた命。
また戦場に向かえばあの機体に乗るパイロットと会えるだろうか。その時は刃を交えず話をしてみたい。イザークらしからぬ事を考えながら目を閉じた。
アラスカ基地のサイクロプスが発動される前、デュエルと刃を混じえた。
一瞬、折り紙をくれた女の子が頭をよぎり、デュエルのコクピットをこのままと思ったが、寸前の所で思い留まれた。
もう誰も殺したくない。殺さなくてもいいならそれで。
甘い考えなのかもしれない。けど、僕はもうただ命を奪う事をしたくなかった。
「⋯⋯あのデュエルのパイロット、無事だったかな⋯⋯」
脚をビームサーベルで切り落とし、蹴って海に落とそうとした。仲間であろうほかの機体に抱き抱えられて行ったから大丈夫とは思うが、その後のサイクロプス発動で両陣営の被害等は分からなくなった。
「⋯⋯また会えた時にちゃんと話をしてみたいな⋯⋯」
フリーダムをアークエンジェルに乗せた時に、捕虜として乗っていたディアッカと話をして、デュエルのパイロットの事を聞いた。
それからだ。会って話してみたい。そう思うようになった。
「また会えたらいいな」