贈り物「おや、今日は髪おろしとるんじゃの」
兄に指摘され、コノハナは反射的に頭に手をやった。
彼女は普段、かんざしを好んでさしている。
なのに今日に限ってかんざしをさしていなかった。
「あァーー……どっかに失くしちまってよぅ」
「ほうか。おろしてても可愛ええよ」
「そうかァ。あたしはイマイチ、締まらねェけどな」
鎖骨あたりまである金色を、鬱陶しそうに払いのけつつコノハナは嘆息する。
「代用品とか無いもんかねェ」
「かんざしの代用品て何じゃろうな。割り箸?」
「それだ。割り箸くれよぅ」
「待ちなさい冗談じゃよ、女の子が頭に割り箸さすもんじゃない。手作りロボットじゃないんだから」
「ペットボトルロボだろうが人間の頭部だろうが変わらねェよ」
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