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    ※いつものようにデイビットが生存してて、ノウム・カルデアにいる設定
    ※ポカ兄はオチ要員

    雨宿り 今回の特異点は、熱帯雨林だった。

     特異点に存在する街へと向かう最中に雨が降り出してしまう。最初は気にせずに歩いていたデイビットと立香だが、雨の勢いは増し、やがて視界が悪くなるほどになった。

     このまま歩き続けることは危険だと判断し、何処かで身体を休む流れとなる。同行していたテスカトリポカが雨風を凌げる洞窟を見つけ、デイビットは立香と共にそこへ向かった。

     テスカトリポカは付近に敵の存在や異常はないか確認するために離れることになり、デイビットと立香は二人きりで行動することになる。今回同行できるサーヴァントがテスカトリポカのみだったためだ。

     雨が強くなった辺りからずっと走り続けていたが、洞窟にたどり着く頃にはデイビットと立香の服はすっかりびしょ濡れになっていた。

     濡れた服を手早く絞ったデイビットは慣れた手付きで火を熾し、冷えた身体を温めるために飲み物の準備をする。お湯が程よい温度になった頃を見計らい、二人分のカップを用意してコーヒーを入れる。

    「藤丸、君の分だ」

     コーヒーの入ったカップを立香に渡すために振り向いたデイビットは、立香の姿を見た瞬間に硬直した。

     立香が着ているカルデア制服のワンピースは雨に濡れていることが原因で彼女の肌にぴったりと張り付いていた。そのために身体のラインがはっきりと浮き出ている。黒インナーを着ているおかげで肌や下着は透けていない。だが、ワンピースが肌に張り付いている姿や身体のラインが浮き出ている様が煽情的だ。少なくとも、見えていけないものを見てしまったと思うくらいには刺激的な姿だった。

    「ありがとうデイビット」

     立香は今の自分の姿にデイビットが動揺していることには気付かず、彼が用意したコーヒーを笑顔で受け取る。デイビットの向かい側に座った立香は焚き火で冷えた身体を温めながら、コーヒーを飲んでへにゃと笑った。

    「美味しい」

    「…………そうか」

     立香の笑顔を見たことでようやく硬直が解けたデイビットは目を閉じて眉間に皺を寄せる。目を閉じていなければ、煽情的な立香の姿を見つめ続けてしまいそうだったからだ。

    (それは善い事ではない) 

     女性の身体をじろじろと見るのは失礼だ。しかしだからといって、目を閉じ続けている訳にもいかない。不審に思われるだろうし、カップの片付けや仮眠する準備のときには自然と目を開けているだろう。しかしだからといって、煽情的な立香の姿を少しでも視界に入れてしまうのも精神的に善くない。

     具体的にどう善くないのかデイビット自身も分からないが、立香に疾しい気持ちを抱いてしまうのは駄目だという直感はあった。

     数十秒の葛藤の末、デイビットは自身のコートを立香に着てもらうことにした。そうすれば視覚的な刺激は減り、デイビットの精神も和らぐという判断からだ。

    「藤丸、オレのコートを着てくれ」

     素早くコートを脱いだデイビットは、それを立香へと差し出す。

    「何で? 気遣ってくれなくても大丈夫だよ。デイビットだって濡れたんだから寒いでしょう」

     デイビットの予想通り、立香は遠慮してコートを素直に受け取ってくれない。押し問答の時間が煩わしかったデイビットは自分の気持ちを率直に伝えることにした。

    「正直に言えば、今の君の姿は刺激が強い。目のやり場に困るのでコートを着てほしい」

    「目のやり場?」

     きょとんとした立香は自分の姿を見下ろす。そこでデイビットの言わんとしていることを理解したのか。頬を紅潮させた立香はカップを横に置き、膝を立てて両脚を両手で抱えることで身体を隠した。

    「ご、ごめん。見苦しいものみせちゃったよね」

    「……そんなことはないが……」

     煽情的だとか、いつもよりも色っぽく見えたとか。そんな感想がデイビットの中で浮かんだが、それを口にすると気まずくなる予感しかなかったので言葉にはしなかった。

     立香の姿をできるだけ視界に入れないようにしながら、デイビットはコートを彼女へと渡す。ありがとう、と言って受け取った立香はデイビットに背中を向けてコートを着込んだ。それを視界の端で確認したデイビットは胸を撫で下ろす。これで目のやり場に困らないと思ったのだがーー

    「わっ。デイビットの身体って大きいね。すっごいぶかぶか」

     自分のコートを着た立香を正面から見た瞬間、再び硬直する羽目になった。

    「? 眉間に皺を寄せてどうしたの?」

    「………気にしないでくれ」

     コートを着てくれたおかげで、ワンピースが肌に張り付いだ様や身体のラインが浮き出る様は確かに見えなくなった。煽情的な姿ではなくなったはずなのだが、別の意味で刺激が強くなった気がするのは何故なのだろう。

     デイビットにとって丁度良いサイドのコートも立香にとっては大きく、全体的にぶかぶかだった。肩幅が合わないのでずり落ちそうになっているし、袖から手が出ていない。自分のコートを立香が着たことで彼女の身体の細さや体格の違いが浮き彫りになり、デイビットは妙な居心地の悪さを覚えた。

    (早く戻ってきてくれテスカトリポカ)

     このまま立香と二人きりで居れば居心地の悪さは増す一方だったので、デイビットは一刻も早くテスカトリポカに戻ってきてくれることを祈った。



     ちなみにテスカトリポカは少し前に戻ってきていたのだが、

    (おー、青春してやがるなぁ)

     気配を消して洞窟の外から元マスターの様子をこっそり見守っていたのだった。





    【了】
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