Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    sobako_mc

    🥂👔だったり🐰2️⃣だったり。表におけない進捗をポイポイしてあります。

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 30

    sobako_mc

    ☆quiet follow

    ヒプクエ話術師🥂×商人👔と見せかけたRPG的なパロ。No幼馴染。没落貴族👔君と謎の話術師🥂君の日常。

    ぼうけんのしょをかきますか?家が貴族だったのは七歳位の頃。その当時は弟も生まれたばかりで父さんの仕事も順風満帆で非の打ち所がないほどの完璧家族だったように思う。あくまでも子供から見た、という枕詞はつくけども。長く続く爵位ある貴族家庭だったが、国全体に広がる不況の煽りは受けていてゆっくりと傾いていく金庫に不安を覚えていたのは……父さんだけではなく母さんもか。俺が生まれた頃は景気も良くて父さんの仕事も順調だった。だけど徐々に不景気になってしまって思うような成果が上げられないようになってきて、母さんは焦ったのだろう。貴族のお嬢様としてちやほやされていたけど、そんな家が没落して平民になることが珍しくなくなってきたから余計に。今ある場所をどうにかして守りたい気持ちは分からんでもない。だけどまぁ、限度はある。
    母さんが数少ないツテを頼って俺を王子様のご学友、引いては第一王女の婚約者にしようと画策して動いてたと知った時は流石に目眩がしたけれど。
    どうにか観音坂家を盛り返そうとしたい気持ちはわかる。だけどその為に年端もいかない子供を蹴落とそうと嫌がらせするのも王妃様じゃ無理だから、王女様や王子様に近付いて懐柔しようとするのもいただけない。
    結局、全ての悪事がバレてしまって賠償金を払った結果、観音坂家は没落しましたとさ。それが面白くもない事の顛末である。まぁ、二十年以上も前のことなんて覚えてないし、大人のゴタゴタなんて俺が知ったことないんだよな。あの時はいきなり母さんがいなくなって赤子の弟と新しい商売を起動に乗せようと必死な父さんを支えるので必死だったし。
    そんなこんなで、没落貴族で現在商人として働く俺は鍋をかき混ぜ、商品を売り、クエストに行く冒険者にアイテムをオススメする立派な社畜である。
    「ふぅ……今日のアイテム整理はこんなもんか……後は伝票をまとめておかないと」
    「チチチチチーッス!!ちゃんどぽぉー!元気〜?」
    バーン!と勢いよく開いた扉にまたこいつか、と頭を抱えることになる。
    「一二三……」
    「おぉ?どうしたどうした?俺っちがいなくて寂しかったりしたか独歩ー」
    「そんなわけあるか。お前がくると仕事が進まないからどうしようかと思ってたところだよ」
    「えぇ……?俺っちめっちゃ独歩の仕事手伝ってんのに?」
    「邪魔してるの間違いだろ」
    全く、今日は何のようだ、と呆れながら言うと、独歩に会いにきたと満面の笑顔で言われるものだから堪らない。まるでヒマワリのように眩しい笑顔に薔薇のような気品さもあって俺の目はいつか潰れるんじゃないかと不安になる。
    こいつの名前は伊弉冉一二三。ある日突然、俺の働く商店に来てアイテムを大量に買って以来の仲だ。着ているものも上等だし立ち振る舞いもスマートで羽振りも良いからどこかの貴族のお気楽次男坊あたりだと思っているのだが、実際はどうなのかよくわからない。家のことを聞こうとすると上手くはぐらかされてしまうし、あんまり深く探って欲しくないんだろうと思って黙っていることにした。人には言えない事が一つ二つあるもんだし、王族の隠し子とかだったらどうしようなんて思っているのもある。母さんがやらかしたあの事件以降、俺達の家は王族への謁見どころか拝見すら許されていない。王女様にも王子様にも大変な傷を残したのだ、と言われたらぐうの音も出ないしな。
    「それで今日の予定は?」
    「ん?今日?」
    「何も用がないのに冷やかしにくるなって言ってんだよ」
    「あー、なるほどね。用ならちゃんとあるよ」
    「何だ?」
    「独歩に会いに来た♡」
    「帰れ」
    「わー!嘘嘘!嘘じゃないけど!ポーション下さい!あとダンジョン脱出ロープも!」
    慌てたように言う一二三にチョップを落とした後、言われた通りにポーションとダンジョン脱出ロープを渡す。一二三から銀貨を受け取ると、金庫に入れて用事が終わったなら帰れよ〜、なんて言う。
    一二三はこうしてブラッと訪れては他愛のない話と細々したものを買って帰っていく。貴族じゃなくて冒険者なのか、と聞いたこともあるが上手くはぐらかされて結局ヤツが何をしているのか俺は知らない。まぁ、誰かとパーティを組んで戦ってるのかもしれないし、貴族の道楽としてダンジョンを冷やかしてるのかもしれないし、それは俺には分からない。しがない社畜の商人は今日も今日とて仕事なのだから。
    「ねぇ独歩〜。いい加減俺っちとクエスト行こうよ〜!魔王を倒そうとか言わないからさぁ〜」
    「そんなこと言われてたまるかよ。魔王なんて無理に決まってるしクエストだって……」
    「ウルトラレアなエケベリア採取クエストなんだけどなぁ……」
    一二三の言葉に思わず耳がピクリと動く。ウルトラレアな、エケベリアだと!?
    「この虹色の花を咲かせるエケベリアの採取がクエストなんだよ。まぁそこまでお金にはならないけど独歩、多肉植物好きっしょ?だから一緒に」
    「四十秒で支度するからちょっと待っててくれ!」
    上司に有給じゃない、出張届けを出して行かなければ!虹色の花を咲かせるエケベリア、この前市場で見つけたが高過ぎて手が出なかったんだよなぁ。野生種ならきっと大きいだろうし、運が良ければ子株の採取も出来るかもしれない。そう思ったらなんだかワクワクしてきたな!?
    「ふふ、楽しそうだなぁ」
    独歩ちんってば本当に変わんなーいなんて一二三が言ったことには気づかず、俺はクエストの準備の為に鞄に色々詰め込むのだった。

    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ☺💖☺☺👍💴☺👍👍👍👏💴❤☺☺👏💴💴👏💖☺☺☺👏💕💖
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    sobako_mc

    DONE付き合っていることを周囲に内緒にしているタイプの学生🥂👔とバレンタインのあれそれ。最後少しキスしてるぐらいのイチャ付きです。
    ハッピーバレンタインなんて口が裂けても言わないバレンタインデーなんて誰が決めた。
    この日だけは独歩に近付くなって毎年釘を刺されている。家に帰るまでは俺に話しかけるな、会うな、近付くな、登下校も完全に別、という徹底ぶりだ。何でだよ、って言っていたこともあったけど、何となく気持ちは分かるんだよな。独歩がこの日を嫌う気持ちって言うの?俺っちとしても、独歩に会うのは……ちょっと嫌だし。
    何で嫌かって、バレンタインデーってどうしても自分達以外の人の好意がチラつくから。まぁ昔から俺っちってばこの時期になると同じクラスだけでなく別クラ他学年からも告白の嵐でその度に独歩が面白くなさそうな顔をしてきたことを知っている。俺が貰うチョコを見ては、お返し大変そうだなって他人事のように言いながら頬を膨らませている独歩がいるからこそ、この日は学校で俺を見たくない気持ちは分からんでもない。いつだったか、独歩が女の子に告白されているのを見て胸がモヤモヤどころかイガイガして、その場に飛び込んで俺っちのもの主張してしまったことを思い出して苦笑いしていると、クラスメイトから「伊弉冉〜」なんて呼ばれる。
    5449

    recommended works