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    「何度めも正直」(五悠/🔞)https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=20424119 の続き。
    中途半端なのでまだ続けたいけど、一旦お休み。

    #五悠
    GoYuu

    「何度めも正直」デート回 ある朝、
    「悠仁、デートしよっか?」
     五条先生は俺の部屋に突然訪ねてくるなり、そんなことを言い出した。
     その日は週末で授業も任務も無いオフだったから、俺は寝ぼけた頭のまま慌てて身支度を整え、そのまま部屋で待ってくれていた先生と一緒に寮を出た。
     どこへ行くのか? とか、先生は今日もいつものカッコでアイマスクなんだね? とか思ったけど、忙しい人だから任務の合間に付き合ってくれるって事なのかも知れない。
     まだ朝早い時間だったから、俺らは誰にも出会うことなく寮を出る。そのまま駅まで歩くのかと思ったら伊地知さんの車が待っていて、
    「今日は虎杖くんも同行ですか?」
     俺が来ること聞かされていなかったようで、少し驚いていた。やっぱただのデートじゃ無いっぽい。先生は授業でも、こうやってレクリエーションかな? と思わせる導入から任務に連れてくこと度々あるから……俺、制服着てこなかったけど良かったのかな?

     それから俺らは羽田まで送ってもらって、そこからの移動時の先生はサングラスに着け替えてた。さすがにアイマスクで飛行機は無理だよな。
     起き抜けに連れ出された俺に先生が朝飯買ってくれたから搭乗待ちのラウンジでそれ食ってたけど、飛行機乗るのなんて初めてだった俺はめちゃくちゃテンション上がって何度も立ったり座ったり落ち着かないの笑われた。
     空の旅は2時間くらい。ずっとソワソワ落ち着かない俺の頭を五条先生の大きな手が何度も抑えるよう触れて来たそれは、連れて来たワンコに「いい子にしてな」って言う飼い主みたいな手つきだと思ったけど、すごく優しくてあったかくてその度に擦り寄りたくなるくらい嬉しかった。

     九州の大きな街から電車を乗り継ぎ1時間くらい。昼前には辿り着いた街で、先生はサングラスからアイマスクに着け替えるとお仕事モードに戻った。
    「悠仁は僕から離れないでね」
     大きく伸びしながら言った五条先生に、俺は先生が火山頭の呪霊と闘った時のことを思い出す。先生がそれを言う時は、相手が凄く強い時なんだろう。また領域展開を見せてくれるんだろうか?
     緊張の走る俺の表情に気づいたんだろうか?
    「悠仁は気楽に見学していてくれればいいよ、ただし手出しはしようとしないでね? 大丈夫、僕最強だから!」
     口元をニコリと綻ばせ言うと、
    「早く終わらせてデートしよう♡」
     って言いながら呪霊の気配の濃い方へと歩き出しつつ、低い声で帳を下ろす詠唱を始めた。

     結果、呪霊討伐は秒で終わった。
     相手は一応1級呪霊だったらしいのだけれど、五条先生の動きには無駄も隙もなく、実に鮮やかに暴力的だった。山、少し削れたんだけど良かったんかな?
     先生は帳を上げる前、余りの迫力に呆けていた俺にキスをした。ここから出たらまたしばらく人目があるからってことだろうけど、帳の職権濫用じゃんって思ったら笑っちゃった。
     でも帰りの電車を待つ間、少し長めの待ち時間も閑線沿いの駅では俺と先生2人きりだった。電車で少し開けたところまで出て、昼飯食って、大きな街に戻ってから街をブラついた。
     初めての街を歩きながら隣に先生居るの嬉しくて、隣を歩く先生を何度も見上げながら俺はずっとテンション高く話しかけてた。

     早めの夕飯をごちそうになってから、そろそろ帰るのかな? と思ってた俺は、それでもまだ帰りの道程で先生と一緒に居られるのを楽しみにしていた。
     だけど、
    「悠仁、空港まで送るから、帰りは1人でも大丈夫だよね?」
     って訊かれて、
    「ええっ!?」
     って思わず声上げてた。自分でも驚くほどデカい声出ちゃって、
    「羽田まではまた、伊地知に迎えに行かせるよ?」
     更にフォローするよう言ってくれる五条先生を呆然と見上げる。デート、いきなり終わっちゃうの? って言うの、先生みたいに忙しい人となら仕方のないことだし飲み込まなきゃいけないんだろうけど、それまでが楽しすぎたから俺は我ままになってた。
    「悠仁……」
     俺の反応が予想外だったのか戸惑う素ぶりの先生に、
    「先生は帰らないの? また別の任務?」
     俺は訊いてた。不満ですって声や態度に出てたし、ガキの我まま通そうとするの良くないって分かってるのに、訊かずにはいられなかった。
    「任務じゃなくて野暮用なんだけど」
     歯切れの悪い先生に、
    「俺とデートした後に女の人と会うの?」
     今まで一度も口にしたことのないような、嫌なことまで訊いてた。
    「まさか! 違うよ!」
     だけど先生は即座にそう返し、
    「誓ってそんなんじゃ無い! 僕は悠仁だけだからね?」
     日は暮れて来てたけど人の多い通りだってのに、俺のこと抱き寄せて言った。俺だけ‪――‬とか、信じていいか分からない言葉だったけど、単純な俺は嬉しくて。
    「嘘じゃないなら、帰る時も一緒が良い」
     軽く脅迫にもとれる言葉を言ってた。それが脅迫になるのは、先生が言った言葉が本気だった場合だけだけど、俺は拗ねるみたいにしてそんなこと言ってた。俺が先生にこんな態度とったの初めてだったし言った瞬間から気まずくなったけど、今日のデートが楽しすぎたから俺ちょっと勘違いしちゃってたのかも知れない。

    「仕方ないな〜」
     先生はちょっと長めのハグしてた俺から腕を離すと、軽い口調で言う。
    「今日のうちに帰れなくなるけど、良いよね?」
     そして手をとり訊かれるのに、俺はドキッとしつつうなずくしかない。五条先生と外泊なんて初めてのこと。明日も休みだから問題なかったし、むしろ嬉しい!!
     喜んでるのちょっと顔に出ちゃってたのか、先生も笑いを噛み殺すような顔をした。
    「僕は悠仁に弱いよね」
     そしてそんなことを言ったけど、弱いんじゃなくてやっぱ甘いよなあ……って、最強の先生を見て思った。



    「野暮用ってのは、家の方の関係なんだけど」
     五条先生はそう言って、余り気乗りしなさそうだった。
     デカくて高級そうなホテルに入って行って、迷うこともなく高層階へと向かった。先生は既にカードキーみたいなものを持っていて、それが招待状に当たるらしい。
    「ちょっとしたパーティーに顔出すだけだけど、悠仁は僕から離れないでね」
     呪霊を祓いに行ったときに言った時と同じ言葉だったけど、この時の方がどこか言い聞かせるよう言われたような気がした。
     パーティーなのに先生はいつものカッコだし、俺もラフなまま。ドレスコードとか無いんかな? って気になったけど、エレベーターが着いた階で黒スーツの男に案内された会場に入るなり、俺はびっくりした。
     音楽と人の声、それから水飛沫の上がる音。人の歩く場所はそれなりに明るいけど、プールサイドはムーディにライトアップされてた。いわゆるナイトプールってやつ? そのプールサイドで行われているパーティー。スーツやドレスを着ている人も居たけど、参加者のほとんどは水着姿。

     急にパリピ空間に放り出された俺は、
    「行くよ、悠仁」
     迷いなく先を行く五条先生に慌てて着いていく。
    「ちょっと挨拶するだけだから、そこに座って待っていて。あまり悠仁のこと詮索されたくないんだ。でもどこにも行かずに、誰にも着いて行かないでね?」
     先生は小さな子に言い聞かせるみたいに俺に言うと、
    「これノンアルコール?」
     近くを歩いていたボーイさんのお盆からオレンジジュースっぽいグラスを受け取って、それを俺に持たせその場を離れた。
     ここがどう言う場かは分からなかったけど、きっと五条家当主である先生にとってはオフィシャルな場なのだろう。勝手についてきた俺は先生の言いつけを守って大人しくしてないきゃ。
     大人しく‪――‬って思ってはいたけど、楽しげにはしゃぐ声の方眺めてたらソワソワする。ナイトプールとか初めて見たし、めちゃ楽しそう〜。プール気持ち良さそう! 水着持ってくれば良かった〜! とか落ち着かない。

    「悠仁、終わったよ。行こうか」
    「先生! 俺もプール入りたい!」
    「えっ!?」

     音楽や喧騒に負けないよう顔を近づけ声を上げた俺に、先生は驚いた顔で俺を見る。
    「いや、僕はいつまでもここに居たくはないんだけど」
     五条先生は言うけど、
    「先生とプールで遊びたい!」
     負けじと笑顔で押したら、「ぐぅっ……」と詰まるような声を漏らした先生が俺を見る。
     気の進まない先生と、ごねる俺。少しの間見つめ合う形になっていたが、とうとう先生が折れるようにため息をついてから、
    「僕の側から離れるなよ! 絶ぇ対に!」
     先生は俺の手を掴み、大きなガラス壁に仕切られた奥へ俺を連れてった。
     先生は応接ラウンジのような空間を横切ってボーイさんに話しかけたかと思ったら、彼の後に続きながら更に俺の手を引いた。離す気はないらしいけど、周りも俺らのことなんて気にしちゃいないぽいから黙って着いていく。
     水着はレンタルがあるらしく、先生は適当に選んで更衣室へ俺を引っ張ると、
    「30分だけだよ?」
     制限時間を言い放ったから、俺は慌てて着替えた。

     ライトアップと飾り付けされたプールと、高層階から見下ろす夜景。絶好のロケーションってこう言うの言うんだな!! ってテンション上がりまくった俺はプールの中でも五条先生と手を繋いだままはしゃいでた。
     最初は不本意そうにちょっとムッとしてた先生だけど、そのうち頬がゆるんで、やっと笑顔になってくれた。手を繋いで頭の先まで潜る勢いで先生を水の中引き摺り込んだら、背の高い先生は不覚をとられることなんてない筈なのに一緒になって沈んでくれて。ぽたぽたと雫をこぼしながら笑い合った。
     水面にキラキラとした光が滲んで、不思議な感じだった。見上げたらすぐ隣に大好きな先生が居て、手を繋いでくれてる。プールサイドを挟んだ向こうに広がる街灯りを見てたら、非日常な感覚に何となく涙が滲んだ。
    「ねえ、悠仁」
     すると先生は俺を背中からハグして、耳元で名前を囁く。近くじゃないと周りの音や声に聞こえにくいってものあるんだけど、きっとそれだけじゃないんだと思う。俺の背中と先生の胸、肌と肌がしっとりとくっついてちょっとムラッてしちゃうの、こんな場所でも仕方ないと思う。
    「今日のデート楽しかった?」
     訊かれるまま、うなずく。楽しかった、今も楽しい。ずっと先生と一緒に居たい。離れたくない。
     甘ったれな感傷も、今なら先生は受け入れてくれると思った。背中に感じる温もりと、ゆらゆらと揺れる水面が心地良かった。

     プールに入るのは俺の我ままだったから、30分とちょっとくらいで上がって着替えようとプールサイドへ上がった時、五条先生が女の人に話しかけられた。どうやら知り合いらしい。彼女は水着ではなくドレス姿。
     どうやら簡単に無視できる相手ではなかったらしくて、俺はまたジュースを‪――‬今度は炭酸の入ったアップルジュースみたいなの渡されて座って待つよう言われた。

     それから五条先生を待つ間に、俺は何人かの人に声かけられた。
     さすがパーティー、さすがパリピ。手持ち無沙汰な俺を引っ張り出そうとしてくれてる。俺もまたプールに飛び込みたくなってたまんなかったけど、もう先生が戻るかと我慢した。
     空のグラス持ってたら、新しい飲み物持ってきてくれた男の人が居て、なんかみんな優しいのになんで先生は嫌々来てんだろ? って思う。先生みたいな人がこういう場に来ると、俺以上に声かけられるだろうし、大変なことになるのかもな‪――‬って思ったりもするんだけど。
     時間はまだそんなに遅くない筈だし周りの喧騒はすごいのに、なんだか眠くなって来た。俺から少し離れたところで背を向けた先生はまだ女の人と話してる。男の俺が見ていても見惚れるほど均整のとれた逞しい身体は、普段服を着ていると着痩せして見えるほど。プールの中ではサングラスもしていなかったから、そのブルーの瞳も晒されてる。先生にしては珍しいことなんだろうと思う。白い髪は濡れたまま、一度額に張り付いたそれは後ろへ撫でつけられていたから、いつもよりしっとりと大人っぽく見えて……なんていうか、色気も増して見えるのは俺にだけじゃないと思う。

     ちょっと離れた位置から見つめる五条先生に、俺は改めて見惚れてた。また抱きしめて欲しいな、俺からも抱きつきたい。今日は帰れないって言ってたよね? 泊まったらえっちすんのかな? シたいな……。
     邪なこと考え始めてたとき、
    「プール入らないの?」
     声をかけられて、俺はハッと気づき顔を上げた。なかなか攻めたデザインの水着姿の女の子が、そこにポツンと座ってた俺のこと笑顔で見下ろしてる。
    「連れが来るまで待機してんの」
     そこで待つあいだ何度か同じ言葉を言ったけど、
    「え〜っ? つまんなくない?」
     彼女は俺の指先を取るよう掴んで言う。
    「もう帰んなきゃだし〜」
     俺は強引な彼女に戸惑いながら笑顔を返したけど、
    「ならさ、あっちにジャグジーあるから、着替える前にあったまれば?」
     更に強引に引かれるまま立ち上がってた。勢いでフラついた俺の手から彼女は空のグラスを取り上げて、近くにいたボーイさんの盆へ返す。そしてそのまま軽い足取りで、俺を引っ張ってった。
     俺は振り返り先生のいる方を見たけれど、まだ先生の用事が終わりそうな気配はない。すぐに戻れば‪――‬なんて考えたの、後になって思えばたぶんかなり気が緩んでた。

     ジャグジーがあるって聞いたけど、連れて来られたのは更衣室の近くにある個室ラウンジだった。VIPルームっぽいそこは喧騒から隔絶されていて、もっと別の緩やかな音楽が流れてる。
     ソファでは数人の男が水着のまま酒を飲んでいて、あれ? 俺なんでここに居るの? って困惑した。
    「部屋間違えた?」って彼女に訊こうと振り返ったら、そこにもう彼女は居なくて既に男がひとり立っていて。
    「なに? どう言うこと?」
     訊いたら、ニヤッと嫌な笑みが返ってきた。
     その部屋とプールサイドはガラスの壁で仕切られていたけど、スモーク状態であちらからは中が見えていないようだったし、こちらからも透過性の低いサングラス越しのよう薄暗く見える。こちらが間接照明だけで暗いのもあるんだろう。
    「俺、連れ待たせてるんで戻んね」
     嫌な空気には気付いてたけど、あえて無視することにした。この人ら多分非術師だろうし、家の関わりで来ている五条先生の手前ことを荒立てる訳にもいかない。

    「なんでオマエまだ動けるの?」
     しかし訳の分からない事を言ったソファの男に、俺は首をかしげる。
    「は?」
    「ヤク盛られてなんで平気なんだよ? って話」
     更に重なる男の言葉に、俺はビクッて震えてた。
     ‪――‬は? ヤク……って何!? 薬? ドラッグ的な!?
     思わず両手を握ったり開いたりして、体調を確認する。動きに違和感を覚えてなかったつもりだったけど、確かにちょっと感覚が鈍い気もする。そういえばさっき、彼女に手を引かれただけでよろけた。いつもならそんなことないだろう。それに、急に眠くなってから軽い目眩がしていたのは酩酊感ってやつなのかもしれない。
     それでも俺が動けるのは、多分宿儺のせいだ。毒物を無効にする宿儺の属性が、本来なら前後不覚になる量の薬物であってもこの程度の影響に抑えているのかも知れない。
    「なんでそんなことすんの? 訳分かんないんだけど」
     楽しかったはずのパーティーの余韻がスッと覚め、俺は不機嫌に言い放った。めちゃくちゃ楽しかった気分ブチ壊したコイツらにも腹立ってるけど、五条先生の言いつけ守らずまんまとこんなとこまで誘き寄せられた自分にも腹立ってる。
     せっかく先生が俺をデートに連れ出してくれたのに、俺の我ままを聞いてプールで遊んでくれたのに、最後の最後になってこんなトラブルに巻き込まれるとか絶対呆れられる。ここまでバカなガキだったのか……って、嫌われるかも知れない。
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    MAIKINGセフレネタの五悠続き。二人がセフレになったときの話。エロは今回なし。
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    結構ぶつ切り。支部にあげるときにはちゃんと整理する。
    こんな関係になってしまったはじまりだけはしっかり覚えてる。
    覚えてるっていっても全部ではないんだけど、なんでこうなってしまったかだけは……。



    楽しく食事したりはしゃいだ後に静かな部屋に帰ってくると無性に寂くなることがある。慣れているはずのひとりが、耐え切れない瞬間。
    仙台にいたときのほうが一人に慣れていたはずなのに。
    夕飯前だったら自炊した食事を餌に伏黒や釘崎を呼んだりするときもある。忙しいって断られて一人のときももちろんあるけど。

    その日も、任務終わりにみんなでさんざん先生のおごりで食べた後無性に一人になるのが寂しくて嫌で、もうだいぶ夜も遅いのに先生を部屋に誘った。伏黒や釘崎じゃなくて先生を誘ったのは、こういう時でもなければ誘う勇気がなかったからだけど、今思えば正気か?って自分に言いたい。
    地下室での生活の中で、先生のことを好きだって意識したのは結構早かったと思う。特別ドキドキするような何かをされたとかそういうんじゃないんだけど、ただ隣にいて心地いいなって思ったらずぶずぶと些細なことも意識してしまうようになっていった。俺くらいの年の恋の始まりなんてそんなもんなんじゃない?他を 2744