ルシアダ犬を飼う③アーサーがルシファー邸に迎えられてから2ヶ月。三食与えられる栄養バランスの取れた食事のおかげか、小型犬ほどだった身体はみるみる大きくなり、今では大型犬サイズに成長していた。
「この調子でパパみたいに大きくなるんだぞ〜」
「横にか?」
「飼い犬より小さいからって、負け惜しみはやめるんだな!」
「負けてない。だから惜しむものなどない。」
いつもの小競り合いを、アーサーは小慣れた様子で聞き流す。最初の頃はキュンキュンと鳴いて二人を心配していたが、夫婦喧嘩は犬も食わない。リードが首に付けられると、尻尾を振って喜びをあらわにした。
アダムは毎朝同じ時間に散歩をする。すれ違う他の飼い主とは、すっかり顔見知りになっていた。チワワのような犬を抱えたホステスとはもう、立ち話をする仲にまでなっている。
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