成田狂児は、岡聡実にどうしても会いたい。
会いたいが、それ以上どうこうしたい、という欲はない。
少なくとも、本人はそのつもりだ。
なにせ自分は反社会的存在だし、相手はまっさらな大学生だ。
自分が相手にしてやれることは少なく、むしろしないほうがいいことのほうが多い。だから狂児は間合いを計る。踏み込みすぎず、搾取せず、迷惑をかけないことを心がける。
そうやって頑張りつつも、彼に『もう会わない』という選択肢はない。
とにかく、岡聡実に会いたい。顔を見たい。話を聞きたい。
彼に会いたい気持ちだけは、どうしても、ある。
なぜ?
……さあ。
これはまだその問いに答えられない男が、十回死ぬ話だ。
【一回目】
ぴこん。
8315