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    スを薄ら嫌いなツ×漫画版ゑゔぁのシンカヲの例のシーンのオマージュみたいなやつ

    ハイパーベンチレイションベッドの傍らに置かれた簡易的な椅子に座り、カキツバタはベッドで眠るスグリに目を向けた。
    スグリの目の下には、少年に似つかわしくない濃い隈。
    それはキタカミの里での林間学校を境に日に日に濃くなっていっていた。
    どうやらほとんど眠っていないらしく、ふらついてその辺りの人や物にぶつかるのは日常茶飯だったし、その場にしゃがみ込むことも多々だった。
    そして今日、とうとうミーティング中に倒れたのだ。
    保健室に運び込んだが、どうやら寝ているだけの様子だったため、カキツバタが見守りを名乗り出て、他の部員は部室へ戻らせた。
    タロあたりはミーティングをサボりたいだけだと見抜いていただろうが、流石に口には出さなかった。
    「------っ!!」
    突然、スグリが目を覚まし、がばっと身を起こした。
    焦点の合っていない目できょろきょろと周りを見渡すと、ふー、と長い息を吐いた。
    「大丈夫か?」
    「……カキツバタ?」
    声をかけられよくやく気づいたのだろう、スグリは少し驚いたような表情でカキツバタに目を向けた。
    「覚えてるかい?ミーティング中にぶっ倒れたんだぜぃ」
    「……ごめん、迷惑かけた。すぐ戻る」
    ベッドから降りようとするスグリの肩に手をかけ引き止める。
    「待て待て。お前、どんだけ寝てねぇ?」
    「……布団には毎日入ってる。すぐ目が覚めるだけ」
    スグリはバツが悪そうにカキツバタから目を背けながらそう言った。
    「………寝られない。人の気配がないと」
    言葉に出しては言わないが、どうやら相当参っているらしい。
    思いの外素直に打ち明けられた弱音ともとれる発言に少し驚くが、さすがに茶化す場面ではない。
    「ゼイユか、アカマツにでも頼んで泊めてもらうか泊まってもらったらどうだい?あの二人なら、断んねぇだろぃ」
    「……………」
    スグリは答えない。
    プライドが邪魔するのだろうか。
    まぁ、今できることは助言くらいだろう。
    それ以上してやる必要もない。
    「もう今日は部屋戻った方がいいぜい」
    そう声をかけると、カキツバタは椅子から腰を上げ、保健室を後にした。


    「……で、なんでオイラの部屋なわけ」
    消灯時間の少し前、わざわざ枕まで持参して部屋を訪れたスグリに、さすがのカキツバタも目を剥いた。
    当のスグリはこちらに背を向けてベッドに寝転がっている。
    カキツバタの質問に答える気はないらしい。
    「おーい、押しかけといて無視はないだろぃ」
    カキツバタがそう言うと、スグリは億劫そうに口を開いた。
    「……カキツバタが、俺に一番関心がないから。ねーちゃんやアカマツだと、心配するだろ」
    「ひでー言い様。オイラだって心配してんだぜぃ?」
    「嘘だな」
    思いの外はっきりと否定され、面食らう。
    自分のことばかりしか見えていないと思っていたが、意外にも周りのこともそれなりに見ているらしい。
    「………まぁ勝手にすりゃあいいさ。オイラまだ寝ねぇから、先寝てろぃ」


    「………はっ、はっ、はっ、う、ひゅうっ、」
    どうやら過呼吸を起こしているらしいスグリの喘鳴に目を覚ます。
    時計を見ると、床に就いてからまだ2時間ほどだった。
    袋か何かを口に当ててやるといいんだったか。
    ベッドから身体を起こし、何か適当なものはあったかと部屋を見渡すが、雑然とした自室から目当てのものを探し出すのは骨が折れそうだった。
    『カキツバタが、俺に一番関心がないから』
    傍で横たわり、過呼吸に悶えるスグリを見下ろしながら、スグリ言われた言葉を思い出す。
    姉のゼイユは当然のこと、他の四天王の連中はスグリを心底心配している。
    リーグ部の部員たちは、心配している者もあればスグリを憎む者、疎ましく思う者と様々だ。
    当のカキツバタはというと、"どうでもいい"というのが正直な気持ちだった。
    スグリの言は的を射ていたわけだ。
    カキツバタにとってスグリは、同じくリーグ部員であり昨年は同級でもあったゼイユの弟で、リーグ部員。
    ポケモンが好きで、楽しそうにバトルをする奴。
    それがなにがきっかけかは知らないが急に様変わりし、圧倒的な強さでブルベリーグを駆け上がり、ついにはカキツバタを下し、頂点に君臨した。
    学園トップの座にこだわりなど特に無かったカキツバタにとって、驚きはあったものの、珍しいこともあるもんだ、と飲み込めてしまう程度のことだった。
    ただ、スグリが圧政を敷くリーグ部の現状はよくない。
    一族のしがらみから逃げるように学園に留まり続けるカキツバタにとって、リーグ部は居心地の良い居場所だった。
    スグリの言う通り、スグリという個人に対しての感情はこれと言って無かったが、部の安寧を脅かす存在としてなら話は別だ。
    そう思うと、少しくらい痛い目を見させてやってもいいかもしれない。
    悪い考えが、カキツバタの頭をよぎった。
    横臥して未だ不規則な呼吸を繰り返すスグリの肩に手をかけ、仰向けにさせる。
    酸素がうまく脳に行ってないのだろう、カキツバタに向けられた瞳は虚だった。
    カキツバタはスグリにゆっくりと顔を寄せると、その唇に口付けた。
    スグリが驚く気配がする。
    両手でカキツバタの肩を押し返そうとするが、上手く力が入らないのだろう、むしろまるで縋っているようだった。
    数秒の間そうした後カキツバタが唇を離すと、スグリは困惑した表情をカキツバタに向ける。
    「……はっ、あ……?」
    「…….は、治ったな。袋じゃなくてもいいんだねぃ」
    「なにすん………ッッ!」
    我に帰ったのか、大声を上げようとするスグリの口を塞ぐように再び口付けると、今度は無防備に開いたスグリの唇の隙間に舌を滑り込ませた。
    舌を絡め、わざとらしく音を立てて吸ってやると、びくり、とスグリの身体が跳ねる。
    しばらくスグリの口内を蹂躙した後、ちゅ、と音を立てて唇を離し、今度はスグリの耳元に唇を寄せた。
    「噂、聞いたことねぇ?それとも期待して来た?このまま、食っちまおうか」
    スグリの下半身に手を伸ばし、ズボンの上からするりと性器を撫でてやると、スグリの喉がひゅ、と鳴った。
    「やめろ!」
    スグリの叫び声とともに、胸に衝撃を受けた。
    どうやら渾身の力で身体を起こしたスグリに突き飛ばされたらしい。
    スグリはベッドから降りると手早く靴を履き、逃げるようにカキツバタの部屋を飛び出した。
    ぱたぱた、廊下を走る足音が遠ざかっていく。
    これで懲りただろう。
    スグリが忘れていった枕を見ながら、どうやって返そうか、とどうでもいい考えが頭をよぎった。
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