ノベ松 夜遅い時間まで残業して、終電で帰ってきた。疲れきっていても腹は減り、ぐぅと音を鳴らし主張する。
冷蔵庫に何かあっただろうか、冷凍食品でもチンして食べようか…と考えながら玄関のドアを開け部屋に入る。
リビングのテーブルに目を向けると、少し歪な形のおにぎりが皿の上にちょこんと置かれ、近くにはメモがあった。
【遅くまでお疲れ。味噌汁もあるから、温めておにぎりと一緒に食べてくれ】
キッチンに行くと小さな片手鍋がコンロの上にあり、蓋を開けると冷めててもいい匂いが鼻を擽った。沸騰しないよう温めた味噌汁と、大きな手で苦労しながら握ったであろう少し歪なおにぎりに頬を緩ませながら、手を合わせ「いただきます」と静かなリビングで呟く。
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