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    aoaoao_777

    @aoaoao_777

    腐った創作をしています

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    aoaoao_777

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    原作後に結婚したほだの短編
    疲れていた帰ってきた委員長甘やかし編
    支部で本編上がってるので先にそっち読むともっと楽しめます!↓
    https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=24665391

    おねだり その日もホークスはいつもと変わらず終電の電車に揺られ帰宅していた。
     ヴィランとの戦いが終わり、ホークスがヒーロー公安委員会委員長に任命され暫く経つが、それでも暇な世の中とは程遠く、社畜の如く働いていた。ヒーロー公安委員会の実態はブラック企業も驚くほどの漆黒さを持っていた。

    (帰りに葱買いたかったけどもう閉まっちゃってるよなァ……)

     ホークスはひとりでにため息を零す。人の波に乗りながら改札を抜け、いつもの自宅への帰路を辿る。もちろん付けられているか最新の注意を払いながら歩を進める。

    (疲れた……)

     この日のホークスは酷く疲れていた。
     度重なる膨大な仕事の量と、新しく入ってきた新人への教育。そして、公安に未だ残る古株への対応。全ての仕事が重なる一日であった。今日も帰れるか怪しいものだったが、もう帰れずに仕事をして三日は経っている。流石に限界だ。
     ホークスは鞄を漁り自宅の鍵を取り出すとがちゃがちゃと鍵を回し、扉を開けた。

    「ただいまァ〜……」

     予想以上に嗄れた声が己の口から飛び出し、苦笑する。こんな時間帯に帰ってきたから、一緒に暮らしている荼毘はもう寝ているだろう。
     彼は意外と規則正しい生活を送っている。もちろんヴィランだった時は身も心も休める場所が無く、追われる身であったが為にそういうものとは無縁だっただろうが、環境さえ整えばきちんとした生活を自発的に出来るところは彼の育ちの良さを伺える。意外と箸使いが綺麗だったり、部屋を汚くしないところだったりだとか、荼毘はギャップの塊だ。一緒に暮らさなければ一生知り得る事は無かっただろう。
     暮らしてから知り得た荼毘の一面を思い返してホークスは思わず顔を綻ばせる。
     短い廊下を進み寝室の扉を開けると、思った通り、そこにはふわふわの白髪頭が掛け布団から出ており、布団の塊は規則正しく上下に動いていた。

    「……ただいま。」

     するりとホークスは眠っている荼毘の頬を指の背で撫で、いつものルーティンをする。

    (三日だけだっていうのに久しぶりに見た気がする。)

     荼毘はきちんと規則正しい生活を送れるが食への関心は薄かった。ちゃんと食べれているだろうか?面倒くさがって抜いたりしていないだろうか?とホークスは荼毘の首や腕などを検診ついでに触っていく。

    「……?いいんちょぉ……?」
    「あ、起こしちゃった?ごめんね。」
    「おかえり……」
    「うん、ただいま。」

     瞼が小さく震え、覗かせた蒼い瞳は未だ眠そうにとろんとしていて、寝起きの掠れた声も呂律が回っていない。
     ヴィランの時の荼毘を知っているだけに、こんなにも無防備に、寝起きの姿を遠慮無く晒してくれる所に堪らなく愛おしく感じる。眠そうな顔を両手で包み、そのまま触れるだけのキスをする。

    「ン……」
    「……ねぇ荼毘ぃ。」
    「ん?」
    「……No.2って呼んで。」

     まさかそんな事をホークスから言われるとは思わなかったのだろう。眠たげな彼の頭には「?」が浮かんでいるようで、不覚にもその姿に可愛いな、と思ってしまう。

    「もうNo.2じゃねェだろ?」
    「そうなんだけどさァ〜……ほら、俺頑張ったし、疲れたし、ご褒美欲しい。」
    「No.2って呼ぶのがご褒美なのか?」
    「……いや、やっぱご褒美は別のことにとっとく。それはそれとしてNo.2って呼んで欲しい。」
    「くく、なんでだよ。」
    「荼毘にNo.2、って呼んでもらうの恋しくなっちゃって。」

     二人が一緒なって以降、荼毘からホークスへの呼び方はもっぱらが「委員長」か極たまに「啓悟」がほとんどだ。お互い出会いが出会いであったし、荼毘も本名を呼ばれることに苦い思い出があるだろうから、ホークスも無理に「燈矢」とは呼ばず「荼毘」と呼んでいる。

    「ねェ〜、呼んでよォ〜」

     ホークスが荼毘に要求をする事などは殆ど無く、珍しく駄々のような物を言い、ぐりぐりと頭を押し付け分かりやすく甘えてくるホークスに荼毘は目を丸くした後、口元に笑みを浮かべながらホークスの小麦色の頭をわしゃわしゃとかき混ぜる。

    「なんだ、委員長様は駄々っ子だなァ。」
    「委員長じゃない、No.2。」
    「はいはい、No.2ゥ?」 

     かき混ぜすぎてオールバックが崩れ、前髪が落ちたホークスの顔はどこか幼く、中々呼ばない荼毘にむくれた顔は本当に子どものようで荼毘は思わず「ぶはっ」と吹き出して笑う。

    「No.2はよく頑張ってるなァ、偉いなァ〜」
    「ン〜……」
    「仕事なんか辞めちまえ〜」
    「そしたら荼毘と一日ずっといれるから辞めたい。」
    「やっぱそれはうぜェから仕事行け。」
    「酷い……」
    「そんな日はたまにで良いんだよ。」

     小麦色の頭から手を離しホークスの頬をうりうりと犬猫のように撫でる。ホークスはそれを瞳を閉じながら享受し、されるがままになっている。

    「No.2〜、愛してるぜ?」
    「……そこは啓悟って呼んでよ。」
    「ンだよ。あれ呼べこれ呼べって我儘だなァ。」
    「ん〜……もう風呂とかいいや。このまま寝る。」

     もぞもぞと荼毘の寝ていた布団へと入るホークス。真正面から荼毘を抱え込み、荼毘の足までがっちりと己の足を絡め、全身で荼毘を抱き込む。先程まで寝ていた荼毘より金の瞳は眠たげに半分閉じられていて、今にも眠りそうなホークスに荼毘は思わず笑ってしまう。

    「おやすみ荼毘……」
    「ふっ、おやすみNo.2。」
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