ラスカルくんちゃんと てる子の小話「ちょっと失礼するわね」
てる子はラスカルの隣に移動すると、おもむろに彼女を抱き上げた。そのままトスン、と優しく自身の膝の上に乗せる。
その間、ラスカルは驚いた顔をしつつも、なされるがまま。抵抗などは一切なく、警戒もしていない。心配になるほど てる子に身を預け、それでも信頼はされていないのが分かる。
ただ、流れに身を任せた。それだけのように てる子には思えた。
深い色を湛える髪にそっと触れる。
少し乱れているから荒れているのかと思っていたが、その感触はとてもやわらかい。よく手入れをされている犬か猫に似た手触り。
初めて見た時、とても小さな子だなと思った。見た目もそうだが、雰囲気も。
その印象を強めるように、膝の上の彼女はとても軽い。本当に存在するのか不安になるほど。
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