モーニングコール 冷たい空気の中、目が覚めて身体を起こす。静かな室内は広くて、いまだに慣れない。
先月まではルームメイトと寝起きを共に過ごし、チームメイトともひとつ屋根の下で暮らしていた。誰かと暮らすことはニューミリオンに来たときからそうで、他人のあたたかさを感じられるから好きだ。けれど、ルーキー研修が終わり、初心者マークはもうない。いい加減独り立ちをしなければいけないと思っていた矢先、恩師からの助言もあってひとり暮らしを決心した。
少し寂しいけれど、のびのびと自分のペースで生活できるのは新鮮だった。出勤より早めに起きて、ランニングをする。空き時間には読書をしたり、買い物をしたり。ひとりの時間は案外楽しい。
なんて、言葉を並べるけれど。本当のところはひとり、というよりもふたりに近かった。身支度だけ整えて、ランニング用のスニーカーを履く。
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