序章【キッカケは迷子探し】 緋鍔局での会議を終えた酔仙は、待ち合わせ場所に今から向かうと別行動していたバディに連絡を入れる。
端末から顔を上げると、深緑色の服を着た茶髪の少年が何やら考え込んでいるのが見えた。どうやら困っているらしい。
「どうかしましたか?」
「あっ、えぇとその、外に待たせていたバディの姿がなくて…」
面識はないが、頭に叩き込んでいる人物リストにはしっかりと入っている。
遍帯智。十八歳の伍段だ。探しているバディは凛威天封鉤爪剣(リンカイテンホウカギヅメノツルギ)。桃色のツインテールと狼の耳と尻尾が特徴だったはず。
「奇遇ですね。私もこの後バディと合流する予定なんです。折角ですし、一緒に探しませんか?」
「本当ですかありがとうございます!」
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