新刊の途中③その日の報せは、アッシュの人生で最悪のものだった。
この先の人生でもこれ以上に最悪な出来事はないと確信できた。
アッシュが通りすぎると、周囲の人はあからさまに距離を置いて、ちらちらとアッシュの様子を伺った。
生徒たちの視線も冷たかったが、教会の大人たちの視線は一層刺々しく、端から見ていたシルヴァンでさえ肩が重くなった。
周りの混乱も猜疑心もよくわかるが、アッシュは本当になにも知らないのだと、つい口を出しそうにもなる。
どんな事情があったか知らないが、これは流石にひどい。
シルヴァンはロナート卿の人柄を疑った。
(つい先週だってあんたに手紙を書いてたんだぜ?)
アッシュはすぐに尋問され、「何も知らない」と項垂れるアッシュを教会は信じた。
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