梅雨時のレクアズがちゅーする話遠雷の音がしていた。
雨季に入った島では、突然大きな雷鳴と共に雨雲が立ち込めて、粒の大きな雨を降らすことは珍しくない。青空学校と銘打った野外での授業も、この時期は雨風をしのげる集会所でおこなうようにされていた。
島育ちの子ども達は激しい雷の音も慣れたもので、バリバリと派手に響くのを聞いては感想を言い合ったりしている。イスラもはじめこそ身体に振動が伝わるくらいの雷鳴に驚いてビクビクとレックスにしがみついていたが、頑丈な建物の中にいれば心配はないのだと教えられてからは光と音の秒差を数えるくらいには余裕をもって激しい雷雨の時間を過ごすようになっていった。
慣れていないのは、彼女だけ。
帝国本土や海上訓練などで雷雨を迎えたことはあるはずだが、いつまで経っても鳴り響く雷の轟音にビクッと身体を震わせていた。天から降り注ぎ地面を走るそれに、悲鳴を上げて取り乱したりはしないものの。いつも凛々しく煌めいている瞳が、心細げに伏せられているのはかわいそうに思う。だから。
「ん……ぷぁ、あ、はぅ…」
ちゅぷちゅぷと滑りを帯びた水音と、甘やかに彩られたアズリアの声だけが聞こえる世界に、レックスはいる。真っ白なシーツに横たわった彼女の身体に、大判のブランケットを羽織って覆い被さった。頭から潜り込んで、跳ね気味の横髪を撫でながら目元に、鼻先に、赤みを帯びた頬に、顎に、喉元に、愛おしさを感じる場所へ心のままレックスが口づければ、アズリアは雷鳴に呼び起こされた憂いを和らげられたのか表情を緩ませた。
薄暗くブランケットの中では十分にそれを見ることは叶わないが、レックスが唇に軽く寄せた口付けをアズリアは深く迎え入れた。肩に添えられた彼女の手は体温と感触を確かめるようにすりすりとレックスの身体をなぞる。
「アズリア……っ、はぁっ、…ん、んっ」
「………っ♡ふ、ぅ」
ちゅ、ちゅ、ちゅぷっ
舌を絡ませ合う口付けは、ますます二人を白く薄暗い世界に閉じ込めた。レックスの厚い舌が口蓋を舐め上げればぴくんとアズリアの背は震え、アズリアの細長い舌がその付け根を突けばとろとろと喜び混じりの唾液が溢れていく。その間にも密着した肢体はだんだんとその温度を上げながら、身体を押し付け合って互いの気持ち良い場所を探っていった。
「ーッ、はぁ…♡ ねぇ、雷の音…聞こえなくしてあげる…」
「そ、んなの、もう……っ、んんっ、…っ はぁ…ッ〜〜♡♡♡」
アズリアの頭を抱きかかえながら撫でていた手で、おもむろに真っ赤になっている両耳を塞ぐ。ぐちゅぐちゅと口内を犯すレックスの舌使いの音が、アズリアの脳内を揺さぶりはじめた。時折溢れるレックスの吐息もアズリア官能を呼びまくる。
「はふぅ…♡ ぁ、ぁ…♡♡ ッッ♡ れ、くしゅ、んん〜〜〜ッッ♡♡」
じゅぷぷっ、ぶちゅっ♡ちゅうぅ♡
漏れ出た唾液もそのままに、快感を追って交わす口付けに二人はただただ酔いしれた。