梅雨時のレクアズがちゅーする話遠雷の音がしていた。
雨季に入った島では、突然大きな雷鳴と共に雨雲が立ち込めて、粒の大きな雨を降らすことは珍しくない。青空学校と銘打った野外での授業も、この時期は雨風をしのげる集会所でおこなうようにされていた。
島育ちの子ども達は激しい雷の音も慣れたもので、バリバリと派手に響くのを聞いては感想を言い合ったりしている。イスラもはじめこそ身体に振動が伝わるくらいの雷鳴に驚いてビクビクとレックスにしがみついていたが、頑丈な建物の中にいれば心配はないのだと教えられてからは光と音の秒差を数えるくらいには余裕をもって激しい雷雨の時間を過ごすようになっていった。
慣れていないのは、彼女だけ。
帝国本土や海上訓練などで雷雨を迎えたことはあるはずだが、いつまで経っても鳴り響く雷の轟音にビクッと身体を震わせていた。天から降り注ぎ地面を走るそれに、悲鳴を上げて取り乱したりはしないものの。いつも凛々しく煌めいている瞳が、心細げに伏せられているのはかわいそうに思う。だから。
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