練習と論破、練習を論破「ねー、レオ」
「んー?」
何だかんだと押し切って、付き合って、凪の部屋でいちゃついていた時だった。ゲームに夢中の凪に勝手に寄り添って抱きついて、ついでにキスまでしたけど凪はゲームの中で4キル決めていた。すげー集中力。
「俺さ、人と付き合ったことなくて」
「お、おう」
「だから、なんかあった時のために別れ話の練習させて」
「はぁ!?」
思わず出た声に凪は目を細め、なんならちょっと眉間に皺を寄せている。そりゃ叫ぶだろ。別れ話?なんで?
「なんで」
「だから、やったことないから練習」
「しなくていい」
練習するってことは俺と別れ話する可能性があるってことだろ?ない。絶対ない。そんな話させない。は?別れる?絶対認めねぇからな。
「レオ、顔怖い」
「別れねぇ…」
「練習だって」
分かっていても出た言葉にやれやれと言わんばかりの凪は頭を掻きてから、練習だからねと念を押す。
「レオのそういう所が嫌になったから」
「は?そういうとこ?どういうとこだよ。俺はお前のこれから出会う誰よりもお前のことを」
「まって、ストップ」
ストップって口を押さえられ、それでも俺の言葉は止まらなくて叫び声の如く手のひらに言葉を投げ続ける。
「レオ、俺初心者だからそんなにガンガン来ないで」
「別れるってなったらガンガン行くだろ」
「来ないで」
わかった?と確認されて渋々頷いたらレオのそういうところが、からやり直し。あれ?今俺二回振られた?
「だから、俺と別れて欲しくて」
「別れるわけないだろ」
「もう、レオとはやってけなくて」
「いやだ」
何を言っても嫌だと論破と強行突破の三つを手に三十分格闘し、凪はまたスマホへと手を伸ばした。
「…レオと別れるのってめんどくさいし、よく考えたら別れるメリットなかったから練習しなくていいや」
「やっとわかったか!」
わかったわかったとやっぱり面倒くさそうにゲームを開いて戦場に向かうからその画面を覗き込んだら目だけが俺の方を向く。
「それによく考えたら俺もレオのこと好きだから付き合ってるんだった」
END