「この傷はなに?」
「先週の任務中に魔物の爪が掠ったところだな。かなり大きなグリフォンが暴れていて、翼の風圧に押されたところを蹴られた」
「じゃあこっちは」
「ああ、これはこの前の休日に近所で迷子になった猫を探していて引っ掻かれた跡だ! 普段はおとなしくて飼い主にはよく懐いているらしいんだが、面識のない人間にはかなり警戒心が強くてなあ」
「はぁ……」
白いシーツの上で、ルイは深い溜息をついた。目の前にはほとんど布を纏っていない恋人。こちらも普段身につけている魔法具のたぐいは全て外したうえで、上半身は裸である。本来なら、睦まじく情熱的な恋人同士の夜の時間を過ごすところなのだが……それを始める前に、ルイは毎回このルーティンを欠かさず行っている。
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