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    su1_ken

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    類司派生/参将🎈🌟(dom/sub)

    以前Twitterで呟いていた、権力ある人間に取り入って生きるためにsubを演じてきたけど実はdom寄りswitchの参謀さんと、周りの屈強な軍人たちに屈しないためにdomを演じてきたけど実は本人も気づいてないくらいの深い深層心理に強いsubの欲求が眠っていたsub寄りswitchの将校さんのお話。

    【注意事項】
    ※ 作者は徹頭徹尾一貫して参将(類司)のつもりで書いていますが、リバに見えなくもない部分があるかもしれませんので完全左右固定派の方はお気をつけください。
    ※捏造・独自設定もりもりです。
    ※以下の要素が含まれます。
    ・将校dom・参謀subでのplay(軽めです。性描写はありません)
    ・モブdomと参謀subのplay及びそれによる参謀のsubdropを仄めかす描写(過去回想のみ。直接的な描写はなし)
    ・subdropにより将校🌟が弱る描写





    町の住人と森の民を混乱に陥れたあの事件から数ヶ月。
    実行犯であったはずの参謀は、今も変わらずこの境界近くの基地で、相も変わらず将校のもとで働いていた。
    事件のあと、中央へ戻り勾留されているところにあの将校が自らやってきて、「お前はここで死なせるには惜しい」とか言って拘置所から連れ戻されたのだ。おそらくあのまま居れば命はなかっただろうから、救ってもらったことには恩がある。………ほんの少しだけ、何か裏があるんじゃないかと思わないでもないが。

    そんな参謀の最近の悩みは、朝から晩まで四六時中付き纏う、倦怠感と頭痛であった。軍人たるもの、多少の体調不良くらいで動けなくなることはないし、夜は多少の睡眠剤を口にして横になれば、数時間は忘れることができる。けれど、根本的な原因を解消しなければ、いつまでもこのような不健康すぎるルーティーンを続けるわけにもいかないということも、参謀自身よくわかっていた。

    (………とはいえ、どうするべきか………)

    不調の原因は大体想像がついている。おそらく、ダイナミクスの乱れによるものだ。
    参謀は世間的に珍しいとされる、switchの第二性を持っていた。支配的なdomと、服従的なsubのどちらにもなれる。
    大臣のもとで後ろめたい仕事を散々させられていた頃は、彼と同じような薄汚れた大人たちに取り入って生きるのに必死だった。だから大抵はsubを装って近づき、従順なフリをしてスパイのようなことを何度もしたものだ。反対に、敵対勢力の人間に拷問をする機会もいくらかあった。今まで特段プライベートでのplayを要せずにいたのは、これらの任務の中でそれなりに欲求を発散させることができていたからだろう。
    例の事件が解決し、大臣から解放され、高圧的なdomに苦痛を与えられることも、捕虜を痛めつけることも無くなった結果、このようなところに綻びが出るとは、流石に考えが及ばなかった。

    「神代、お前また昼食を抜いたな?」

    執務室の扉が開いて、将校が入ってきた。食堂で昼食を摂っていたらしい。
    眉を顰めて考え事をしていた参謀を見て、訝しむような表情を浮かべながら問いかける。

    「………食欲があまり湧かないもので」
    「軍人は身体が資本だぞ!少しでもいいから何か胃に入れろ。スープだけでも持ってきてやろうか?今日はコンソメだったが」
    「野菜が入っているなら要りません」
    「食い気味で否定するんじゃない!全く………む、お前顔色が悪いな」
    「大丈夫です。ご心配には及びません」

    冷たく跳ね除けてもなお、将校はその右手を参謀の前髪に差し入れて、額に軽く触れた。

    「強がらなくていい。どれ………ほら、熱もあるだろう。今日はもう休んだらどうだ」
    「先程も言いましたが、大丈夫です。休んでどうにかなるものでもないですし」
    「………ダイナミクスか?」
    「………え、」
    「乱れが体調に出ているのなら、私がplayをしてやろうか」
    「な、なんでそんな、いきなり」
    「あまり公言はしていないんだが、私はswitchでな。………まあ、普段は殆どdomなんだが………一応、お前に合わせることはできるぞ」

    normalならまだしも、domかsubか、第二性を他人に明かすことは極めてプライベートな話題である。どれだけ親しい仲であっても、第二性が明らかになるだけで簡単に崩壊してしまう関係性だってあるのだ。それなのに、この人は。よりによって数ヶ月前に自分を陥れた相手に対して第二性をカミングアウトするなど、あまりにも危機感がなさすぎる。

    「………結構です。貴方に頼るくらいなら、プロにお金を払いますから」
    「中央と違って、この地域にそういった施設はないぞ。法外な料金をぼったくられる非公認のものならあるかもしれんがな。ダイナミクスの欲求を発散したいなら、誰かしら信頼のおける人間とplayをしたほうがいい」
    「………」
    「お前が私とplayをしたことを隠したいなら誰にも言わん。私はこう見えて口が堅いんだ。見知らぬ行きずりの相手とするよりは、私にしておいた方がいいとは思わないか?」

    (この人、自分が発散したいだけなのでは………?まあ、都合がいいし、今回は従っておきますかね)

    「………貴方に借りを作るのは癪ですが。では、少しだけなら」
    「フッ、賢明な判断だな。お前はどちらなんだ?」
    「私もswitchです。普段はsubでいることが多いですね」
    「ほう!珍しいな。ふむ、それなら、私がdomで良いか?」
    「構いません」
    「セーフワードは?」
    「redでいいでしょう」
    「よし。嫌なことがあったら、すぐに言うんだぞ」

    そう言うと、将校は執務室の椅子に軽く腰掛けて参謀をじっと見つめた。

    「では始めるか。………kneel」

    思いの外穏やかな声でコマンドが発せられた。参謀はそれに従って、静かに膝をつく。

    「膝は痛くないか?柔らかい敷物がなくてすまない」
    「大丈夫です」
    「それなら良かった。Good boy」
    「………kneelだけでそんなに褒めることないでしょう」
    「別に良いだろう?減るもんでもないし。………look」
    「………」

    優しく微笑む琥珀色の瞳と目が合う。将校よりいくらか背の高い参謀は、自分が見上げる形になることに少し新鮮味を覚えつつ、おとなしくコマンドに従った。

    「うむ、Good boy。な、たくさん褒められた方が嬉しいだろう?」
    「………まあ、いいですけど」
    「次はcrawl。できるか?」
    「………はい」
    「素直でよろしい。お前、可愛いところもあるものだな」
    「可愛いは余計です」
    「ふふ、いい子だ。よくやった」
    「………ありがとう、ございます」

    たった3つのコマンドで、こんなに褒められることがあるとは。先程まで感じていた頭痛や重怠さが消えて、身体が軽くなるのを感じる。

    「どうだ?」
    「ええ、まあ。………躾などはしないのですか?痛くしたり、とか」
    「ただの応急処置にそこまでは不要だろう。私はあまり、痛いのは好みではない」
    「そう、ですか」

    どおりでよく褒めるわけだ。軍内において生き抜くために普段はdomを装っているというのは正しい判断だが、こんなに優しいdomがよくこの歳でこの地位まで上り詰めたものだ。

    「そういうのが好きなのか?」
    「いえ。今までplayしてきた大抵のdomは、そういうタイプでしたので」
    「お前が望むならやってもいいが、お互いに好きでもないプレイスタイルをわざわざする必要があるとは思えんな。………どうだ、少しは楽になったか?」
    「………まあ、頭痛や倦怠感は無くなりました」
    「そうか!playした甲斐があったというものだな。お前も、コマンドをよく聞いてくれてありがとう。Good boy」
    「こちらこそ、ありがとうございました」
    「私の欲求の解消にもなったしな、お互いにwin-winというやつだ。では、少し遅くなってしまったが、午後の仕事を始めるとするか」

    さっと空気を切り替え、参謀も立ち上がって自席に戻る。頭も身体も軽くなったおかげで、今日は想定より早く上がれそうだ。

    (………痛いのは好きではないと言っていた。コマンドひとつごとにやたら褒めるスタイルといい、支配よりも世話を焼くのが好きなタイプなんだろうか。そういえば、あの森の民の少女たちにもよく世話を焼いているし)

    playを受け入れ、コマンドとrewardで体調が軽快するということは、参謀は少なからず、将校のことを信頼しているということになる。………おそらく、自分で思っているよりも。


    *****


    初めてplayをしたあの日以降、将校からやたら気に掛けられているな、と感じていた。
    あれ以来、「部下の体調管理も上官の務めだからな!」などと言われ、週に1〜2回程度の頻度でplayを持ちかけられている。将校が言っていたとおり、痛いことはされないし、性的なコマンドも出されたことはない。参謀にとってもデメリットはそこまでないから、よほどのことがなければ誘いを受けていた。そのおかげもあってか、あれ以来体調はすこぶる良好である。

    (………いつまでも世話されっぱなし、というのも引っ掛かる。これ以上、彼に借りは作りたくないのに)

    将校自身のダイナミクスも発散されているのだろうから、参謀が一方的に世話を焼かれている、というわけではない。将校のことは好きでも嫌いでもないが、この現状には謎のむず痒さがあるのだ。なんとかして、この借りを返したい。決して報いたいわけではなく、あくまで借りを返したいだけだ。

    (そういえば、彼もswitchだと言っていたな。それなら--)


    *****


    次のお誘いは5日後だった。1日の任務を終えて宿舎へ戻ろうとする参謀に、そろそろどうだ?と声がかかる。

    「将校どのがお望みなら、やりましょうか。ところで将校どの、今日はいつもと逆でやってみませんか?」
    「逆?」
    「ええ。将校どのもswitchなのでしょう?たまには役割を入れ替えるのも気分転換になるかと。switch同士でしかできないことですし」
    「ふむ、では私がsubか。………よろしく頼む」
    「セーフワードは?」
    「red、だな」

    いつもとは反対に、参謀が椅子に腰掛ける。

    「では将校どの、come。………kneel」
    「あ、ああ」
    「よくできました」
    「………!」

    (なんだ、この感覚………これまでdomとしてplayしていたときとは比べものにならないくらい、心が満たされる………オレは………)

    「まだいけますか?look。………ええ、Good boy」
    「………ぁ、」
    「事前に確認すべきだったのかもしれませんが………将校どのは、subとしてはどのようなplayがお好みなのですか?」
    「………わからん。殆どしたことがない」
    「痛いのは?」
    「経験はない。もし今するなら、明日の仕事に支障が出ない程度に、としか言えんな」
    「わかりました。では今日はやめておきましょう」

    (………もう、終わってしまうのか?もっと、もっとほしい………)

    「………もう、しないのか?」
    「将校どの?」
    「………神代。もっと、オレに命令してくれ。もっと、オレを褒めてくれ………」

    rewardをあげたものの、将校は未だ忠実にlookのコマンドを守ったまま、参謀を見上げていた。先程より僅かに潤んだ瞳、上気した頬、playの続きを強請る言葉。
    普段冷徹な顔を見せる将校の打って変わって従順なさまに、参謀は自分の中のdomとしての欲がより一層強まるのを感じていた。端的にいうと、征服欲である。

    (domとしてのplayが久々だからだろうか。それとも………将校どのとは、こちらの方が相性が良いのか)

    「それでは、もう少しだけ続けましょうか。嫌だと思ったらセーフワードを使ってください」
    「………!ああ、わかった」
    「………lick。私の指を、舐めていただけますか」

    既にここまで従順なら可能性はほぼないに等しいが、反抗的なsubはここで噛み付くこともある。念のため、参謀は利き手ではない右手を差し出した。

    「………ん、」

    これまで殆どsubとしてのプレイ経験がないなら、このコマンドはおそらく初めてだろう。将校は戸惑いながらもおずおずと舌を出し、ちろちろと舐めはじめた。

    「もう少し、口に含んで。ほら」
    「んぅ、んん」

    指先を無理やり口の中へ押し込む。唾液が将校の顎を伝って床に垂れるが、気にしてなどいられなかった。今この瞬間、確実に、目の前のこの男は自分の支配下にある。そう思うと、言いようのない興奮が参謀の身体を駆け巡った。
    長い指で口内を蹂躙すると、くちゅくちゅと湿った水音が、床のカーペットと軍服の布地に吸われて消えていく。
    --どれくらい経っただろうか。体感としては1分だったような気もするし、10分だったような気もする。コマンドを解かれないままだったので、将校はずっと必死に参謀の白い指を舐め続けていた。

    「………すみません、少しやりすぎました。もういいですよ。………Good boy」
    「はぁっ、は、ん」
    「大丈夫、良い子」
    「ん………口が、つかれた」
    「流石に今日はここまでですね。殆ど初めてだというのに、ここまでコマンドを聞けるとは思いませんでした」
    「オレもだ。………こちら側も、悪くはないな」
    「私たち、相性が良いのかもしれません。将校どのが嫌でなければ………次回も、こちらで良いでしょうか?」
    「………構わん。オレも、………良かった」
    「フフ、お疲れ様でした。Good boy」
    「………眠い。さっさと宿舎に帰って寝るか。お前もあまり夜更かしするなよ」
    「ええ、将校どのも、お気をつけて」

    もっと褒めてくれ、と続きを強請られたときの将校の顔が妙に脳裏に焼き付いて離れない。domとしてのあの優しいプレイスタイルは、自分自身が褒められたいという欲求の裏返しだったのか。参謀自身も、lickを出している間の自らの感情を省みて、内心ひどく驚いていた。ダイナミクスはそこまで強くないと思っていたのに、あんな欲が出るなんて。これまでsub側に傾け続けてきた代償なのだろうか。同じく、将校も--?

    (………まずいな。もう、あれを知る前には戻れない気がする)

    脳内では既に、次はどんなコマンドを聞いてもらおうかと作戦会議が始まっていた。


    *****


    あれから何度か将校とplayを重ねたが、domを務めるのは参謀の役目になっていた。歳上で、上司で、命の恩人。そんな相手に対しコマンドを出して、膝をつかせて従わせる快感に、自分がのめり込みそうになっているのをひしひしと感じていた。おかげで、以前はずっとsub側に寄せていた第二性も、最近はもっぱらdomでいることが多い。
    将校もまた、subとして命令と褒美を享受することに嵌ってしまったようで、playの度にもっとくれとコマンドを強請るのだ。あのときの蕩けた顔といったら--

    「………おい神代、聞いているか」
    「………はい。中央に出張、ですよね」
    「ああ、各支部の代表者が集まる会議があるんだ。というわけで、出立は明日の朝だ」
    「随分と急ですね。お気をつけて」
    「何言ってるんだ。お前も一緒に行くんだぞ?」
    「はぁ?裏切り者の私を連れて中央に行くんですか」
    「今は私の部下だろう。補佐としてついてこい」
    「………わかりました」

    全く、いつも突拍子もなく無茶なことを言う人だ。森の民の少女たちやこの基地内の他の彼の部下たちがきわめて友好的なので普段は忘れそうになるが、中央に行けば自分はただの罪人で、死に損ないでしかないのに。そんな人間を連れ歩いていたら、なんの罪もない将校もまた、奇異の目に晒されることは確実だ。下手をすれば、自分の存在を理由に難癖をつけられて階級を落とされることだってあるかもしれない。

    (中央までは付いて行って、あとは大人しくしていよう。会議に同席しろとは言われていないし)

    長い出張でもないし、荷造りは適当でいいだろう。それまでに、目の前の書類たちをきりの良いところまでは片付けなければならない。ひとまずコーヒーでも淹れるかと、参謀は席を立った。


    *****


    (………遅いな)

    翌日の夜。参謀は宿として用意された単身用官舎の空き部屋で、将校の帰りを待っていた。
    昼過ぎに中央へ着いてから、昼食もそこそこに隣の中央本部へ入っていく将校を見送ったのはもう何時間も前になる。ドアをくぐる直前、当たり前のようにお前は来ないのか?と振り返られたが、流石に固く辞退させてもらった。今の自分が中央本部の中を平然と歩いていたら、何をされるかわかったものではない。辺境の基地で暮らしていると、中央の常に蹴落とし合うような剣呑な空気を忘れそうになる。あそこは針の筵なのだ。

    久々に元の職場に来たからか、心がざわついて落ち着かない。手持ち無沙汰に持ってきた本を捲るが、いまいち頭には入らなかった。
    将校には隣の部屋が割り当てられていたはずだが、未だに物音はない。随分と会議が紛糾しているらしい。
    本部内には入らずとも、少し様子を見に行ってみるか、と部屋を出ようとしたそのとき。

    一枚隔てた向こうから、やたらと大きい物音。おそらくは、ばん、と乱暴に扉を開けた音だ。それから間髪入れずに、がらがらと何かが立て続けに床に落ちたような音が続く。音の出所は、将校に割り当てられたはずの、隣の部屋だ。
    あの将校がこんな大きな音を立てるはずがない。感情の起伏は見えても、何かに当たり散らしたり、頭ごなしに怒鳴りつけるようなことはしない人だ。それなら、誰かが命を狙いにきたのだろうか。それならもっと静かに、ばれないようにやるべきだ。いっぱしの軍人なら、足音と気配を消すすべくらいは誰でも身に染み付いている。

    一寸の間逡巡して、自分の部屋の扉を開けて廊下に出る。殺気は感じられない。
    隣の部屋の入り口は開け放たれていた。中を覗くと、見知った軍服を纏った人間が、ちょうど膝から頽れるところだった。

    「将校どの!!」
    「っは、ぁ、」

    物音の主は将校自身だったらしい。へたりと座り込む彼の横には、サイドボードから落ちたと思われる置き時計やランプなどの小物が散乱していた。脚に力が入らず、バランスを崩した際になぎ倒してしまったのだろう。

    慌てて駆け寄ると、まるで蝋のような酷い顔色で、がたがたと震える腕を床について、かろうじて体勢を支えている。

    「っ、あ、はぁ、ごめん、なさい」
    「………!」

    膝をついて座り込む姿勢に、乱れた呼吸。震える身体、謝罪の言葉。
    これらの症状に、参謀は嫌でも覚えがあった。

    (まさか、subdrop………?glareを浴びたのか………!)

    subとして大臣に仕えていたあの頃、躾や仕置き以上に苦痛なplayを強制するような、酷いdomに何度か出会ったことがある。そういう人間ほど、権威を誇示したがるくせに、アフターケアはなおざりにするのだ。そうして放っておかれたsubは、dropするしかない。落ちたときの苦しみは、参謀もよく知っていた。自分の意思とは全く関係なく、冷たい泥沼の中に引き摺り込まれるような、見えない何かにずっと首を絞められているような、それが永遠に続くかのような地獄だった。一度落ちてしまえば、苦しみに耐えかねて意識を手放すか、domにcareしてもらうしか救われる方法はない。前者しか経験のない参謀には、それはただひたすらに苦しいものであるという記憶だけが残っていた。

    「大丈夫です、大丈夫ですから。ここには貴方を害するものはありません」
    「………はぁ、ぅ、」
    「将校どの。look」
    「………ぁ、」

    やっと目が合う。いつも真っ直ぐに見据えてくるあの意志の強い瞳とは思えないほど、昏い色をしていた。まだだ、まだ届かない。深いところに沈んでしまった彼を、呼び戻さなければならない。うっすらと張った涙の膜が、ふたりの間を隔てているように感じられた。

    「よくできました、good boy。貴方は良い子です。大丈夫、大丈夫………」
    「………………かみしろ、」
    「………すみません。本部内にも同行すべきでした。ここのところsubとしてのplayばかりしていたせいで、普段の性質もsubに傾いていたのでしょう」
    「………かみしろ、いい」
    「いえ、私のせいだ。………貴方をsubに傾けたのは、私なのに」
    「………神代。いいから、オレに、switchを出せ」

    出張の前だって、変わらず同じペースでplay自体は行っていた。ダイナミクスの乱れによるものではないなら、subdropの原因として考えられるのは、強いglareを浴びることくらいだった。
    switchは自分の意思でdomとsubを入れ替えることが可能だが、不意にglareを喰らってしまったことにより、ここ最近のplayでsubに寄ってきていた性質が、一気に引っ張られてしまったのだろう。
    自分よりも強いdomのコマンドで入れ替えることはできなくもないが、dropしたばかりでダメージを受けた心と身体には大きな負担になる。傷ついた彼に追い討ちをかけることだけは、絶対にしたくなかった。

    「できません。貴方まだ、完全に戻ってきていないでしょう」
    「もういい、大丈夫だ。早くオレを、domに」
    「駄目です。もう一度、look。私の目を見て………何があったのか教えてください。say」
    「………会議中に、少しglareを浴びただけだ」
    「Good boy。………将校どの、なにか隠していませんか?」
    「なにも、ない」

    色が戻り始めていた瞳がふいと逸らされる。なにか、言いづらいことがあるのは確実だった。

    「目を逸らさないで。………speak」
    「………お前の、処遇の話が出たんだ。仕事に関しては優秀だし、お前はあの大臣に飼われていただけで、お前自身が悪意を持っていたわけじゃない。だから今はもう大丈夫だと、不穏分子ではないと、言ったんだ。そうしたら………」
    「貴方の意見に反発したdomに、glareを浴びせられたと?」
    「ああ、そうだ。………大したことじゃない」
    「大したことでしょう。貴方はまだ、sub性に目覚めたばかりです。未熟な状態でglareを浴びたら、苦しいのは当たり前だ。………話してくれて、ありがとうございます。Good boy。良い子ですね」
    「………ん、」

    無意識に手が伸びて、参謀は将校のまるい頭を撫でた。振り払われるかと思ったが、素直に受け入れられる。猫のように少し目を細めて、口角がわずかながらに上がっている。顔色も、だいぶ戻ってきたように見えた。

    (………ああ、私はきっとこのひとを、自分のものにしたいのだ)

    そのためにはもう少し、彼からの信頼が必要だろう。今はまだ、そのときではない。
    指を滑らせて、耳と顎のラインを辿り、首筋にそっと触れる。

    (いつかここに、私のcollarを贈りますから。もう少しだけ待っていてください)

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    DONE類司派生/参将🎈🌟(dom/sub)

    以前Twitterで呟いていた、権力ある人間に取り入って生きるためにsubを演じてきたけど実はdom寄りswitchの参謀さんと、周りの屈強な軍人たちに屈しないためにdomを演じてきたけど実は本人も気づいてないくらいの深い深層心理に強いsubの欲求が眠っていたsub寄りswitchの将校さんのお話。
    【注意事項】
    ※ 作者は徹頭徹尾一貫して参将(類司)のつもりで書いていますが、リバに見えなくもない部分があるかもしれませんので完全左右固定派の方はお気をつけください。
    ※捏造・独自設定もりもりです。
    ※以下の要素が含まれます。
    ・将校dom・参謀subでのplay(軽めです。性描写はありません)
    ・モブdomと参謀subのplay及びそれによる参謀のsubdropを仄めかす描写(過去回想のみ。直接的な描写はなし)
    ・subdropにより将校🌟が弱る描写





    町の住人と森の民を混乱に陥れたあの事件から数ヶ月。
    実行犯であったはずの参謀は、今も変わらずこの境界近くの基地で、相も変わらず将校のもとで働いていた。
    事件のあと、中央へ戻り勾留されているところにあの将校が自らやってきて、「お前はここで死なせるには惜しい」とか言って拘置所から連れ戻されたのだ。おそらくあのまま居れば命はなかっただろうから、救ってもらったことには恩がある。………ほんの少しだけ、何か裏があるんじゃないかと思わないでもないが。
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