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    masasi9991

    @masasi9991

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    おやすみのあとのデググラ

    ##デググラ

    子守唄 なんとなく、眠れない。どこか体調が悪いってわけでもなく、ただ落ち着かない。明日も早いから早く寝たいという気持ちだけはあるんだが。どうにも、目を閉じても。
     そんな焦りに反して、ベッドの中は相変わらずどうしようもなく心地が良い。キミが隣に居るからだ。だからブランケットの中に潜り込んで、目をつむっているだけで、悪くはない気分。このまま朝まで眠れないままでいてもいいのかもしれない、と思い始めているのも良くないか。
     ベッドの中で、キミの穏やかな寝息と心臓の音に合わせてシーツとブランケットが静かに揺れている。キミの暖かな体温の方に向かって寝返りを打って、腕に寄りかかった。
     これは腕だな。目を閉じていても触れたらわかる。太くて暖かくて柔らかくて、少しもじゃもじゃの毛が生えている。ベッドの上の方に置いてきてしまった枕の代わりに、キミの二の腕にぎゅっと顔を押し当てた。
     するとその腕がもぞりと動いた。しまった、起こしてしまったか。
    「ン……。ワ! グランツ?」
    「ここにいるよ」
     起きて慌てて、寝ぼけた掠れ声でおれの名前を小さく叫んだ。ブランケットをめくったキミが、おれの顔を覗き込んでくる。
     眩しいな。寝室は真っ暗で、目を開いてもあたりはぼんやりとしか見えないのに、キミのことは不思議なほど眩しい。
    「なんだ、そんなところにいたのか。……ふう」
     背中に腕を回されて、ぎゅっと持ち上げるように抱き寄せられた。ブランケットの中から顔を出すことになった。少し残念……中はキミの匂いと音と体温しか感じられなかったから。少し息苦しくはあったが。
    「いなくなったかと思ったか?」
    「いいや。ふあ……お前の頭が、こんな、この腕のあたりに……ふあぁ、ある、というのはわかっていたからな、……ふぁ。おまえはうっかり、小さくなって、しまったのかと思って」
    「ふっ。あはは。おれが子供みたいに?」
    「そうだ。うん、だからおまえに子守唄を、歌ってあげようという夢を……ぐぅ」
    「ふはっ、ふふふっ」
     寝ぼけながら見ていた夢の話をして、またスヤスヤと眠ってしまった。思わずこぼれてしまった笑い声で、またキミを起こしてしまわないように堪えるのに苦労する。
     キミの子守唄、昔聞いたことがある。小さなロッタナに歌ってあげていたのを隣で聞いていた。うまい歌ってわけじゃなかったが、おれはあれが好きだったし羨ましかった。あの頃はそんなこと言い出せなかった。
     そうか、おれにも歌ってくれるのか。明日の朝、起きたらねだってみようかな。朝に子守唄ってのはおかしいか。
     今日はあの歌を思い出しながら眠ろう。
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