ねぇ、ナルト、あんた最近帰るの遅いんですって?
ヒナタに聞いたわよと、幼馴染であるサクラちゃんに詰め寄られ、俺は用意していた嘘を、息を吐くようについた
まぁ、騙せる気は最初からしていない
そもそも彼女にはどんな小さな嘘でも突き通せる自信がない
もちろんヒナタに対しても
案の定、口から出た嘘はすぐに彼女にバレた
眉間に深い皺を作って睨んでくる彼女に、美人は怒っても綺麗なんだなぁなんて思いながら、一人の青年の顔が浮かぶ
人目を避けてしか会うことができない、今問い詰められている原因の人物
会うたびに綺麗な顔を不機嫌そうに曇らせていく、俺だけを想い続けてくれている、可哀想な彼
笑った顔が見たいのになぁ、なんて
俺が望めたことじゃねぇんだけど…
ほんの一瞬だけ彼女から意識を逸らす
それだけで彼女には伝わってしまったらしい
…なんて顔してんのよ、アンタ
全くと、呆れられてため息を吐かれる
……どんな顔をしているのか、なんて
言われなくてもわかっている
やっぱサクラちゃんは怖ぇなぁ…
あぁ、今すぐにでも
泣きたくなるほど、彼に会いたい