ミズキ。水神の力を宿している元人間の妖怪です。
幽霊族の男の相棒です。
水を操る力を持っていてとても強いです。
一瞬で心に入り込んでくる下衆野郎です。
でも大丈夫。
心を強く持てば、大丈夫。
「こんなところか」
古本屋の片隅。店主は新しいページに描いたミズキの似顔絵と説明文をもう一度見直し、筆を置いた。
「随分な言い草だな」
「帰れ」
店主の手元を背後から覗き込むように身体を屈め笑ったのは、図鑑に記載されたミズキ張本人。写実的な店主の絵は左の目の傷も欠けた耳もきちんと描写されているが、いかんせん説明文がミズキは納得がいかなかった。
ぴしゃりと言い放った店主の言葉も気にした様子も無く、ミズキはページを拾い改めて書かれた説明文を読む。
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