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    setsuen98

    @setsuen98

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    setsuen98

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    🌊🔮。
    🔮にお城に住みたいって言わせたかっただけの、大して中身のない短い話。

    #suuki

    「ねぇ、二人で暮らそうか」

     浮奇と恋人になって、もう数年経つ。
    正確には色々有って一度別れてるから、そこでリセットするなら一年未満だけど…まあ直ぐ復縁したし、ノーカウントでいいでしょ。
     それは置いといて。少し前から、二人で同じ家に帰りたいと思っていた。「いらっしゃい」でも「お邪魔します」でもなくて、「おかえり」と「ただいま」を言い合いたい。
     何気ない感じを装って口にした言葉はいつもより小さくて、自分でも分かる程に緊張していた。格好もつかないし、何とも情けない。恥ずかしくなってつい俯いていく顔を、首を傾げる様にして下から浮奇の美しい顏が覗き込んできた。
    「いいよ。どこに住もうか」
    「……いい、の?…ほ、ほんとに?」
    「ふふ、何その反応。自分から言い出したのに。…俺ね、お城に住みたいなぁ」
    「え、お城!?」
     思わぬリクエストに目を見張ると、それを見た浮奇が可笑しそうに肩を震わせ笑う。
    「お城…お城かぁ…、…私はちょっと嫌、かなぁ…」
    「どうして?素敵じゃない?」
    「だって、浮奇に今すぐ会いたい!会わなきゃ死んじゃう!って時に、広いお城の中を探し回らなきゃいけないでしょ?すぐ会えないのはちょっと困るよ」
     わざと真面目な顔をして深刻な問題の様に理由を口にすれば、一緒きょとんとした浮奇の顔が、じわじわと幸福が滲むように破顔していく。
     かわいい、と思わず口から出た言葉に、白く艶やかな頬がふんわりと色付く。私の恋人本当に綺麗だし可愛過ぎない?
    「ふふ、そっか。スハは俺に会いたくてたまらなくて、死にそうになっちゃうことがあるんだ?…仕方ないから、お城は諦めてあげる」
    「そもそもお城は買えないけどね。…会いたい、ちゅーしたい、って時にすぐ見つけられる程度で許してください」
    「いいよ。俺もいつもスハの事を感じられる方がいいから」
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    Replies from the creator

    setsuen98

    MOURNING🦁👟みたいな何か。付き合ってません。
     ほぼ満席状態の店内。二人掛けのテーブルにルカと向かい合って座ってから、なんとも言えない無言の時間が過ぎていく。と言っても実際には大した時間は経っていないけど、黙り込んだまま相手が口火を切るのをただ待つ時間は何倍にも長く感じられる。だからと言って、いつもの快活とした姿とは異なり神妙な顔でテーブルを見つめるルカに「話って何?」なんて無遠慮に本題へ切り込むことなんて出来なくて、手持ち無沙汰にカップに口をつけブラックコーヒーをちびちびと啜るしか出来ず、日差しが降り注ぐ外をいい天気だなぁ…なんて現実逃避まがいに眺めていた。
     「シュウに相談したいことがある」と改まって連絡がきた時は、一体何事かと身構えてしまった。まさかルカの身に何か深刻な問題でも起きているのかと心配になり即座に了承の返信を打てば、カフェでお茶でもしながら聞いて欲しいとの思いのほかゆったりとした回答に、勝手な杞憂だったのかと胸を撫で下ろしたのが数日前のこと。ただ実際に顔を合わせてみるとこんな風に一切読めない様子で、大きな問題でないことを願う最中、突然ルカが顔を上げ僕の方を見つめたかと思えば、また直ぐに視線を落とし何度か口をモゴモゴとさせてようやく口を開いた。
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