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    S4ndw1ch_Cak30

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    S4ndw1ch_Cak30

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    Twitter(現X)で書き散らしてたホラー短編を散逸前にまとめたいやつ
    気に入らないとこには手を加えています

    ホラー(X) まとめ『辻褄合わせの家』

    呪われた廃家の噂が本部に流れていた
    家の住民に出会すと呪われて死ぬのだと
    胡散臭い
    シライは胡乱げに同僚を見下ろす
    調査中、噂話をしていた同僚を捕まえたところ
    「いや、僕らは呪いの話はしてなくて」としれっと述べた
    じゃあ何かと問えば早口で
    「噂の土地に家が建ってた記録がないんですよ」と
    件の土地は数十年前から駐車場だったらしい
    その前は相続で長年調停を続けていたという
    「……そういやずっと売地だった記憶があるな」
    「知ってるんですか?」
    「まあな」
    出身時代が露呈するリスクのため伏せたが、その土地は母校にほど近かった
    少なくともシライが中学の頃に、そんな噂はなかった
    ……

    「こんなに広まるとは思いもせず、すみません」
    ヒゲンという少年が頭を下げる
    噂を辿るのは登記情報を得るより簡単だった
    「任務中に噂を聞いて、それで実際に人影を見て、不安になってしまったんです」
    「その任務の時代は?」
    「2054年です」
    その時には件の地は駐車場になっているはずだ
    ヒゲン少年はかなり参っていたのでカウンセリング室へ送った
    「おじさん」
    あとは噂を収集させるだけ
    その段階でクロノが声をかけてきた
    「噂を調べてるんだよな」
    「風紀を正せって命令でな」
    「それなら言うんだけど、噂になる前からあの土地を知ってるんだ」
    クロノは懐からなにかを取り出した
    短針中の学生手帳だった
    クロノたちが編集された時のものだ
    そこに噂の土地の住所が記載されていた
    「マイ先生が適当な住所書いたみたい。売地だったよ」
    「いまは駐車場になってる」
    「へ〜、まあ噂なんてそんなものだよな」
    クロノはそう笑うと話を断ち切る
    現地を見に行くことに決めた
    日が落ちてからシライは件の駐車場へ訪れた
    車は1台止まっているだけで閑散としていた
    周囲は静けさに満ちている
    嫌な緊張感があった
    調べたところ、中学生たちが肝試しにくることもあるのだとか
    ただの噂なら
    「だめだよ」
    背後から声がした
    振り返ると誰もいない
    ハッとして前を向く
    シライは困惑した
    家があった
    玄関脇の窓から人影が覗く
    「いなくなったのがだめなんだよ」
    背が低い、子供らしい影だ
    「家だったのに違うから」
    それが湿気た声でなにか言っている
    「こうしないと辻褄が合わないよねぇ」
    シライは静かに刀を抜く
    人影はクロノの姿を模していた
    刀をかざすと、そこは駐車場に戻っていた
    異様な空気もない
    ただ、一点だけ変化があった
    古びた紙が落ちている
    古い様式の、短針中の入学届だった
    クロノの名前とこの土地の住所が書かれている
    保護者名は滲んで読めなくなっていた
    拾い上げてライターで焼き捨て、シライは本部へ帰還した
    シライもヒゲンも呪われて死ぬことはなかった
    噂は次第に収束し、一週間もすると誰の口にも上らなくなった
    だが、シライは入学届や人影のことを伝えられずにいた
    きっと墓場まで持っていくだろう

    マイ=ラッセルハートはこの件への関与を否認している



    『とつきとおか』
     10歳の男の子を探しています
     行方不明日時 2048年12月3日
     服装     クジラのシャツ
     特徴     左右で瞳が異なります
     見つけた方はご連絡ください
     長針警察署 生活安全課 ████
    …………
    ……
    「クロノ、おまえ行方不明扱いになってたぞ。ほらチラシ」
    「え? さっきの任務って2050年で……ちょっと耳貸して」
    「おう」
    「2048年だと、おれ産まれてもない」
    「ならこれなんじゃ!? きもちわるっ!」
    「あ」
    「まだなんかあるんか!?」
    「いや、逆算すると……」



    『見えているので眇ではなく』
    有力な情報が得られたのは失踪から1ヶ月が経った頃だった シライは愛車に跨って山道を駆ける
    目撃者のバイカーが言うには、X山峠のいわゆる酷道で、クロノの顔に似た果実を見たのだとか
    世迷い言と切り捨てるにはバイカーの怯えようが異様であった
    ゆえに、シライは現地へと足を運ぶことを決めたのだ
    ……
    「『クロノの生首が鈴なりに成ってた』ってのはここか。話すだけでビビって無駄に時間食わせやがって」
    「おまえがやたら凄むからだろ…」
    呆れたようなクロホンを黙殺して現場へ向かう
    シライの身体能力で山道もさくさくと進み、果たしてその場所に異様の果実は成っていた
    「たすけて」「くるしい」「だれかいないの」「たすけて」「だれか」「ころして」
    それは確かにクロノの声だった
    梨のような形状の実が、やたら細い幹から分かれた細い枝にみっしり成って、重みに撓んできしんで揺れている
    その実には人の顔のような凹凸がくっきりと表れていて…それは確かにクロノの顔だった
    シライは途端に剣呑な空気を取り戻した
    隈の滲んだ悪鬼のような目つきに殺意を乗せて抜刀し、梨の成る枝を切り落としていく
    「悪趣味な、クロノの真似しやがって」
    「え、枝から血みたいなの出てるが、いいのか!?」
    「これはクロノじゃねえ」
    理屈ではないが今のシライにはそれがはっきりと分かった
    枝ごと落ちて潰れていくクロノの果実
    割れて潰れて甘い香りがそこらに立ち込めると、枝が一つも残っていない、ひょろ長く細い幹だけが地面に刺さっているような有り様になっていた
    「この下だ」
    シライは妙な確信に突き動かされるまま、幹を掴んで地面から引き抜こうとして、人の気配に振り返る
    老人がいた
    「眇は神に捧げられ土を富ませる」
    研がれたクワを振りかざし老人はもごもご口を動かした
    老人にしては機敏ながらもシライには及ばない
    鞘で両足を強かに殴打すれば苦悶の声をあげて座り込む 犯人候補が動けなくなったのを見て、今度こそ幹を引き抜いた
    めりめり、柔らかな土に亀裂が走る
    両腕の付け根の筋肉が膨れ上がる
    異様な重さをした木の根の先に絡められるように、予感の通りにクロノがいた
    衰弱しているようだが、なんとか息はしている
    必死に声をかけると薄らと左の目を開けた
    「お、おじさん……」
    「クロノ! しっかりしろ、いま病院に──」
    「なんでおれの子を殺したの」
    「……おれの子って、まさか、この梨のことじゃ」
    クロホンが尋ねるのにクロノはただ崩れた果実を見渡して、顔色を突然真っ白に変えると、再び目を閉じた

    気が付くとあの老人も果実も姿を消していたが、シライはただクロノだけを必死に抱えて、近くまでやってきた救急車へと乗り込んだ


    梨の木:人に寄生して成る 果実は土に還り山を富ませる 今回は条件が合わなかったので弱っていた
    老人: 眇のものを山に捧げる役割をしていた
    クロノ:退院後無事に復隊した
    シライ:狂人の洞察力



    『瀉血』
     クロノが右の鼻から血を垂らしていた。ぽつぽつ、粒は小さいながらも絶えず垂れてつま先が血溜まりに浸りかけている。本人はスマホで何か読んでいるらしく、俯きがちながらも床は視界に入っていないようだ。
     シライはその血の量にギョッとしつつも顔色が普通なので、慌てずティッシュの箱を持って声をかけた。
    「顔上げんなよ。そのまま下見ろ」
    「あ、おじさん? 下って……うわっ!?」
     やはり自覚がなかったか。ティッシュ箱を渡すと何重にもして鼻の下へ充てがった。
    「片しといてやる。無視せず医務室行け」
    「わ、かった」
     つんのめった鼻声で答え、染み出しつつある赤色に紙を追加してクロノは歩き出した。……
     荒事の多い職なので血の清掃や廃棄の手順はしっかり固められている。シライが床を清掃、消毒して医務室に向かう頃には結構な時間が経ち、診断も処置も終わっているだろうと気楽な気持ちでふらりと立ち寄った。締め出された。
    「前例のないことで、精密検査中です」
    「鼻血が?」
     シライが鼻白んで聞くと
    「ええ。何しろ、人の鼻の穴から豚の血が止まりませんでしたので」
    こう、医療スタッフは困惑した様子で答えた。
    検査結果、そもそも🐳の鼻からの出血は認められず、豚の血がどこから出てきたものかは杳として知れない。



    『疑似餌』
     喉が乾いて目が覚めた。まだ深夜だ。クロノは半分眠ってぼんやりした頭のまま、ぺたぺたと水を飲みに出た。本部は消灯されて階段の灯りだけがぐんぐんと影を伸ばし、壁に手をつき食堂へ向かう。……
     無事に水を飲み、さて帰って眠ろうかと、眠い目をなんとか開けて歩いていた時だ。星空があった。
     踊り場の窓から見上げる星は今にも触れそうなほど垂れ込めて眩い。こんな都心の夜に星が見える日が来るとは思わず、クロノは窓に手をつき瞬きする光を眺めた。霞がかったところもあれば、時折視界の端で線状に流れていくものも、一際強く輝きを競うものたちも、様々な天体ショーが目を惹く。
     もっと、近くで見たいが、流石に窓を開けるくらいにしておこう。クロノはそう思って鍵を開けて横滑りの窓へ力を込めようとして、後から肩を掴まれた。
    「立ったまま寝てんなよ。ベッドで寝どこうぜ、ベッドだけに」
     シライだった。輪をかけてラフな寝巻き姿から彼も寝起きだとわかる。知り合いだと分かるや、クロノは窓の外を指さした。
    「星がすごく綺麗なんだよ。おじさんも見る?」
    「星? ここ地下だぞ」
    ……
     そういえば本部は地下にあった。では、この星空は。クロノが気づいてもなお窓の向こうの星空は美しく儚く瞬いて……鍵をかけ直し、シライと共に踊り場を去った。
    …………
    ……
    窓枠がくしゃりと縦に潰れてもごもごした。

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    Replies from the creator

    S4ndw1ch_Cak30

    DOODLE⚠本誌ネタバレ
    ・📱の一人称
    ・📱たちに関する捏造

    📱も📵も感情が実装されてるのにイノセントで無垢な感じがする
    わたしは2機に夢を見ています
    あなたの約束にはならない リハビリも兼ねた、難易度の低い任務でした。クロノさんは53回目で[[rb:攻略未来 > クリアルート]]を見出し、運転手を含むすべての人質をバスから降ろすことに成功したのです。最初はトンチキな動きをするものの、試行錯誤して誰一人傷付かない未来を掴み取る強さがクロノさんにはありました。記録に合致する、いつも通りのクロノさんです。

     2074年の自動操縦バスが犯人とクロノさんだけを乗せてハイウェイをまっすぐにひた走っていました。さほど距離のない通路の端と端で睨み合っているのは、相手が拳銃を持っているからです。犯人に武術の心得はなく、今の状況だけなら、前にクロノさんが攻略したコンビニ強盗事件の方がよほど危険な状態だったと言えます。[[rb:照準 > サイト]]の合わせもふらふら、バスで揺れて姿勢も安定しません。クロノさんもそれを察しているようで、カーブに差し掛かった時に飛びかかろうとしているのでしょう。弾丸がクロノさんの急所へ命中する確率は、それこそ100万分の1以下……ぼくはそう判断していました。
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    S4ndw1ch_Cak30

    DOODLEウェブボメッセージありがとうございました

    モブクロ(+シラクロ)

    クロノ(18)シライ(30) トキネ救出成功後時空
    モブのナツキくん(14)視点です
    どうしようもない人 ぼく、新入隊員3級巻戻士のナツキには目標としている人がいる。10歳の頃、犯罪者によって倒壊させられたショッピングモールに1人取り残されたぼくを助け出してくれた巻戻士。ぼくがこの道を志したきっかけの人は、任務達成率100%の特級巻戻士クロノさんだ。

    「絶対に助けるって言ったろ?」

     1人ここで死ぬのだとすべてを諦め蹲っていたあの時のぼくを救出し、クロノさんは快晴を背に笑いかけてくれた。あの瞬間からぼくの世界の頂点は空色の髪をした男の人になったんだ。事件現場から痕跡1つなく消えてしまったクロノさんを追いかけるうち、巻戻士の素質があることが判明して……必死に努力をして、14歳で入隊を果たした。

     巻戻士として訓練に励み、任務を遂行していけばいくほどクロノさんへの憧れは募るばかり。ぼくを助けてくれたあの任務で、クロノさんはなんと1034回も[[rb:巻戻し > リトライ]]をしていた。[[rb:攻略 > クリア]]済みの任務資料の記載を見た瞬間、なんてすごい人なんだと尊敬の念がますます深まった。
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