土井半助自覚編(雑←土)「あ、雑渡さん。お久しぶりです」
「やあ」
「こんにちはー」
「はい、こんにちは」
「昆奈門さん、どうされたんですかぁ~」
「こちらに寄ったついでにね」
活動中だった保険委員と、雑渡昆奈門が、忍術学園の片隅で和やかに会話をしている。
通りかかった土井半助は、あれはいいのかと若干思いつつも、楽しげな空気を見守っていた。
雑渡昆奈門という男は、忍びとしては恐るべき相手だ。
ただ、生徒には割と甘い。生徒によって彼から助けられたと報告が入るたびに、教師たちに情報は共有される。そのたびに教師たちは、頭を悩ませる羽目になる。
部外者から生徒への接触は、基本的に、学園長を含めた教師たちに知らされる。
忍術学園に悪意を持つ者の中には、生徒から籠絡しようという考えを持つ者がそれなりにいる。
2018