Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    hiyoshi_TB

    うたプリの腐小説を書いています。
    カミュセシを中心に、色々なCPを書くので。
    キャプションをご覧になってから、閲覧してください。

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 7

    hiyoshi_TB

    ☆quiet follow

    シャニライあやかしシリーズ、蛇神のねつ造過去話。
    猫に出会うまで、を書けたらいいな。

    <ありし日の・壱>最初はただの白蛇だった、遠い昔のことだが覚えている。
     たまたま森近くの村で発見されたことで、人間が勝手に神の使いと崇めて社を作った。
     そこを根城にして、供え物で食いつなぐうちに。
     五十年もすると、村の周りに雨を呼ぶくらいの能力が備わっていた。
     干ばつがないため村は安泰だった、覚えている限りで二百年ほどは。
     旅人が運んできた流行り病で、次々に村人が死んでいった。
     社に願っても、俺にそこまでの力はなく。
     村にネズミ一匹、残らなかった。
     祈る者がいなくなると通力も弱まるらしく、俺はゆるゆると弱っていく。
     もういい、蛇にしては長く生きた。
     そう思って死を待っていたある日、村に白い衣を着た人間が現れる。
     気配が人とは違う、不思議な男だった。
     「間に合わなかったか…」
     村を見て人間はそう言い、手に提げていた壺の口を開けて酒を村に撒いて回る。
     酒の気で少し力を取り戻し身じろぐと、藪がガサガサとなった。
     白い衣の男と共に来たらしい、武官のような黒い衣の男が音に気づいて近づく。
     「おいセイメイ、白蛇がいるぞ」
     黒い衣の男は、俺の様子を伺いながら躊躇いなく膝をつく。
     蛇の俺でも、衣の素材が村人と段違いなのがわかった。
     「ヒロマサが見つけたのなら、普通の蛇ではあるまい」
     セイメイと呼ばれた男が寄ってきて、俺をじいっと見つめる。
     手にしていた壺を右手の指で撫で、何事か唱えたあと俺の口元に酒を垂らした。
     ついえる前に一口、と舌を伸ばす。
     途端に体中に気がみなぎり、意識がはっきりした。
     「お前、言葉はわかるな?」
     セイメイに声をかけられ、身を起こして頷く。
     「おお、利口な蛇なのだな!」
     感心するヒロマサの声が子供のようで、微笑ましい。
     「俺たちと共に都に来ぬか?」
     村を離れる…と考えたとたんに、亡き人間たちの面影がよぎった。
     毎日社に供え物をしにきた老婆、社に止まるトンボを取りに来た坊。
     いい夫を持ったのは蛇神さまのおかげだと、報告にきた娘。
     己が思っているよりも、村に思い入れがあったのを自覚した。
     それでも、今はもう誰もいない。
     その虚しさに腹が冷たくなり、セイメイの誘い応じた。
     「まだ人型にはなれぬな、蛇のまま持っていくか」
     セイメイが言うと、ヒロマサが
     「俺が見つけたのだから、俺が抱えていこう」
    と言って慎重に俺を持ち懐に入れる。
     じんと伝わる暖かさに、じっと目をとした。
     「ヒロマサは、いい男だな」
     セイメイの声が告げ、言い返すヒロマサの懐に揺られて俺は都にのぼった。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    👏👏👍👍👍👍😭🙏❤👏🙏
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    hiyoshi_TB

    DOODLEアンケで同列二位のカミュレン・リクエスト。
    【「ずっと子供でいたかった」で始まり、「浅はかな考えでした」で終わる物語を書いてほしいです。できれば7ツイート(980字)以上でお願いします。】
    文字数少ないですが、二位なので大目にみてくださいw
    ずっと子供でいたかったなどと、レンは思ったことがない。
     子供の頃はちやほやされても、自分の家や外見を見ている者ばかりだった。
     どうしようもなく、常に愛に飢えていた。
     最後まで自分を見てくれなかった父親を、恨むことはなかったが。
     叶わなかった空虚は、今でも心のすみに残っていた。
     家族で楽しむ行事が近づくと、自分がいかに一般的な家庭で育たなかったかを実感する。
     それでも、今は一緒に過ごしてくれる仲間がいる。
     大人ぶって尖っていた頃から、変わらず近くに居た。
     たくさん知らなかったことを教えてくれ、一緒に笑いあう仲間で友達。
     笑おうと思わなくても、レンは笑顔をみえせるようになっていた。
     そして…
     「そろそろ起きろ」
    優しく起こしてくれる、美しく気高い恋人。 
     あたたかいベッドで、レンがゆっくり目をあけた。
     隣でカミュが、ふとんから上半身を起こしてレンの髪をなでている。
     レンはちらと視線を時計にやると、再び目を閉じた。
     「まだ大丈夫だよ」
     言いながらすり寄ると、カミュがふっと笑って鼻先にキスをする。
     あまりに幸せで、レンの閉じた瞳が熱くなる。
     『ハッピーでも、 574

    hiyoshi_TB

    DOODLEアンケで一位だった『カミュセシ』です。

    【「私は晴れの日が嫌いだった」で始まり、「明日はきっと優しくなれる」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば13ツイート(1820字)以内でお願いします。】
    とのことでしたが、最初の書き出しだけセシルの口調に変えています。
    「ワタシ、晴れの日が嫌いでした」
     共に住んでいる部屋でソファに並び、くつろぎながらテレビを見ていた時にセシルが言った。
     ニュース画面には、今年成人を迎える若者たちの希望に満ちた様子が映し出されている。
     不思議に思いつつ、カミュがセシルを無言で見つめて続きを促した。
     「アグナパレスでは、ワタシの誕生日は三日前から祝いの行事が始まります。でも小さい頃は晴れの日だからと、知らない人たちが次々に会いに来るのが窮屈で…」
     いつも宮殿内で自由にすごしていた小さなセシルは、祝賀用の動きにくい服がキライだったし。
     外部の人間が入ってくる時期は、行動も制限された。
     王と王妃たる両親は、招待客からの挨拶に応じていて不在。
     いつもの倍以上の側使いに取り囲まれ、母の膝に甘えに行くことすらできなかった。
     当時を思い出したのか、セシルが横にあったクッションを抱えてむくれる。
     「贅沢な悩みだな」
     ため息と共にカミュが言うと
     「子供だったのです」
    言い訳をするセシルに、カミュが遠くを見つめて口にした。
     「俺は子供のころから、騎士だったからな」
     その一言で、背景を察したセシルが息をのむ。
      825

    recommended works