Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    無味無臭

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 8

    無味無臭

    ☆quiet follow

    嫌いな話夜が更ける。
    僕の意識が覚醒する。

    どこかで、誰かの隣に、僕はいる。

    どうやら、愛し合っている男女が、心中しようとしているらしい。
    美しい愛。
    僕には手の届かぬ、神秘。

    彼らは熱く抱擁し、そっと、海の中に入る。
    なんとなく手を伸ばして、彼らを止めようと試みるも、触れることすら叶わない。
    彼らは、ゆっくりと沈んでいった。
    こぽこぽ、とこれから死ぬとは到底思えぬような音を静かな海に漂わせながら。
    本当に静かに、しかし、とても熱く、2つの命がこの世から消えた。


    どこかで、誰かの隣に、僕はいる。

    どうやら、先日未亡人となった女性が、後を追おうとしているらしい。

    一途な想い。
    想うことだけならば出来るが、それ以上はできないには、あまりにも羨ましい。

    睡眠薬を口に含み、ごくり、ごくり、と飲み込んでいく。
    写真にそっと口付けをし、優しく胸に抱える。
    ゆっくりとベッドに寝そべり、女性は目を閉じる。
    すぅ、すぅ、と穏やかな吐息が聞こえる部屋で、時計だけが変わらず時を刻む。
    すぅ、と彼女の時は、止まる。


    だから僕は、嫌いなんだ。
    美しい愛の話は。
    だって、もう救われたとこれから救われるんだと思ってしまうから。
    僕に、救わせてくれないんだ。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works

    めろん果汁

    DOODLE前の続き。名前ちらっと出てくるからエピ1から読むのがいいっすよ
    ワンクは置かない確固たる決意
    episode2 ソウタepisode2 ソウタ
    「…え、俺が?人たらし?ゑ?????」
    くっそだるい授業を終えた放課後。俺ら以外誰もいない教室で談笑していた時だった。ソウタが不意に先ほどの発言をしたのだ。
    「人たらし?俺が?」
    「お前以外に誰がいんだよ」
    そう言って苦笑しているこいつ。こいつはユウとは違うタイプのイケメンで初対面で恥ずかしながら綺麗だなって思ったくらいだ。体は細く見えるけど俗に言う着痩せするタイプらしく、部活で鍛え引き締められた体は確かに目を見張るものだった。
    「でも実際タイガ結構モテるくね?」
    首を傾げて俺に聞くソウタ。くそ、こいつ自分の顔がいいからって…
    「俺がモテるわけねーじゃん」
    「そうか?」
    「そうだよ!」
    実際、俺はモテないわけではない。ただ、こいつらのモテようが異次元なだけだ。いつもだって放課後は女子に呼び出されていたりするし、授業終わった後にこいつらに会いに教室までくる女子もいるし。ただ不思議なことに、こいつらは同級生には全くと言っていいほどモテない。話しているとこも見るけど普通に世間話とかだし。
    766