眠い。そう感じる前にもう、まぶたは降りていて、いくら声をかけられてもなかなか起きることができない。そんな日々が続いて、いくらなんでも辟易していた。こんなに手強い睡魔に襲われたことなんて、今までにない。
「ふわぁ……」
鳴海は、今日何回目になるのか分からないあくびを漏らした。なんのために行われているのか鳴海には理解できない、防衛隊幹部と各部隊長の出席が義務付けられている定例会議の最中だった。多分、今話しているのは政府のお偉いさんで、今年度、防衛隊に割かれる費用だとか、期待する働きだとかを熱心に語っているらしかった。手元の無駄に多い資料の表紙を見れば、「討伐庁」とやたら強調された単語が目に入る。
「本当に、どうでもいいな……」
現場に出ている鳴海からすれば、政府関係者だか研究者だかが算出したデータなんて机上の空論に過ぎない。出動して、現場にいた怪獣が本物で、そこで防衛隊が出した結果こそが全てなのだから。近年の怪獣災害の傾向の変化なんて、データ化されなくても肌で感じている。結局、自分たちは国の防衛の要だと謳われながらも実際の立場的には国を護るための駒である。どれだけ崇高な組織だと語られても、実情は死ととなり合わせで、怪獣の血を浴び、時には仲間の死を見送る、決してキラキラした世界ではない。こういう傾向が……なんて、現場を見ず、ただ防衛隊があげたデータをこねくりまわして出来た推測を言われても、鳴海はあぁ、そうですかと聞き流すだけだ。熱心に聞いている幹部や他部隊の隊長たちが滑稽で仕方ない。まぁ、鳴海と違って態度に出ていないだけかもしれないが。
「こんな、会議に……出るくらいなら…… ……訓練してた方がマシだ……」
その最強は、今、睡魔に勝てずにいる。ゆらりゆらりと船を漕ぐ、というよりは、ふっと意識が飛ぶような眠気のせいで、愚痴すらも途切れ途切れだ。
「堅苦しい会議の中で、なにが生まれるってんだ」
頬杖をついて、壇上を見やる。眠気で視界がぼやけていた。