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    105@海自艦擬人化

    @sanpomichi105

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    105@海自艦擬人化

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    403+② 年長者から幼少時の様子聞くの恥ずかしいよねという話

    #擬人化
    Humanization
    ##本編
    ##3_affection

    いつまでたっても 吹き抜ける風に涼しさが感じられ、日差しも柔らかくなってきた8月下旬。真夏に比べれは朝夕は随分と過ごしやすくなったものの、まだ気づけば汗が滴る日が続いている。今日もよく晴れていて昼間は暑くなりそうだ。そんなある日の朝、僚艦が一隻ゆったりと接岸場所へと入っていく。
    「ちはやー、今来たのは?」
    「ぶんご。掃海母艦」
     前を横切っていく艦上の顔見知りに向かって軽く手を上げつつ、隣からの問いかけに答える。いままでであれば真っ先に出迎えへと行くであろうくまのは、珍しいことにじっとしたまま動かない。それどころか若干にじり寄って隠れようとすらしている。残念ながら、ほぼ同じ背格好となった今ではあまり意味を成さないのだが。それでも背中越しに目線だけはちらちらと艦へと向けているから気にならないわけではないんだろう。先ほど名前を耳にした時に、あの人が……とぽつりと呟いたのが気になった。このところ慣れないことで疲れ気味なだけ、ではなさそうだ。
    「なぁ、くまの。お前人見知りするようなやつじゃ無いだろ。遠慮せず話してきていいぞー」
     暑い、と寄ってきた分押し返しながら促してやる。
    「だってさぁ……ぶんごって僕が僕になる前を知ってるんでしょ?自分でも覚えてないのになんか恥ずかしい…………」
     おずおずと口を開いたくまのの言葉にそういうものか、と思う。気持ちはわからないこともないが、放っておいても向こうからそのうち来るだろう。 なんせ去年ドックから戻った後はしばらく弟分が可愛いと近しい面々に触れ回っていたくらいで、俺も聞かされた内の1人だ。そういえば、何かの時にその時の話をくまのにしたような気もするがあいつの自業自得ということにさせてもらおう。
    「なんかあったら間に入ってやるから。挨拶くらいしておいで」
     ほら、とこちらへと近づく人影を指し示す。渋々返事をして歩く背を見送る。いくらなんでも成長した姿を見ればそれなりの対応をするだろうと思って。

     対峙するなり抱きしめ、頭を撫でまわし、結果逃げ帰ってきたくまのを背に説教をすることになるまではあと少し。
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    105@海自艦擬人化

    DOODLEかもめ(新幹線)とやはぎ(艦)。セルフクロスオーバーみたいなものです。
    新米の冒険 駅から続く電車通りから外れて海沿いの遊歩道を軽く駆け抜け、公園の端まで来るとそこから人々が憩う様子をふわふわと潮風を浴びながら眺める。この景色は元々は海から見る予定であったけれども、あいにく天候の折り合いが悪くて叶わなかった。それ自体はいまも残念に思っているものの、こうして別の機会にでも自ら赴けるあたり、人の身に意識を宿したことのありがたさを感じる。まだ慣れていないのもあってしばしばバランスを崩してしまうけれど。本体の性質のせいかこの身体でも走るのは好きだ。でもたまにはゆっくり歩くのも良いな、と遊ぶ幼い子供の笑い声や木々のざわめきを耳にしつつ元来た道を戻るべく振り返る。
    「こんにちは!」
     いつからいたのか、視界の手を伸ばせば触れられる距離に子供が立っていて、思わずびくっと身体が跳ねた。やや緊張した面持ちで声を掛けてきた子供は背格好からしてまだ小児料金が適用される年頃に見える。驚いて真っ白になった頭でもそれだけは真っ先に過ってちょっと可笑しくなった。落ち着いて思考を巡らせる。確か出掛ける前に先輩からは「人からは見えないのだから、もし迷ったら呼びなさいね」と言って携帯を持たせてくれたのだけれど。中には見える人もいる、ということなのでしょうか。こんなことなら対策を聞いておくんだったと内心はあたふたとしながら何を言うべきかを考える。
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    105@海自艦擬人化

    DONE祝・118進水日!10周年おめでとう~!
    雨上がりの記憶 不意に目を覚ます。直前まで夢でもみていたのか一瞬、ここはどこだっけと頭をよぎった。薄暗い中で視線を巡らせて、艦の馴染んだベッドであることを確認する。枕元に置いているデジタルの腕時計を手探りで掴み、顔の前でかざすと時刻は〇五二九を示していた。付近のベッドではまだぐっすりと眠っている者が大半のらしく、機械の作動音が低く響いているのを除けばしんと静まっている。
     もう一〇年前、か。
     寝起きの少しぼんやりした頭で今日だなぁと思い出す。時刻と並んで表示されていた日付は八月二二日。かつて海へと滑り降りた日だ。当日朝は普段と違う様子に緊張していたのか、単に暑くて寝苦しかったか、もしくは夢見でも悪かったのか。起きてしばらくの間ぐずぐずと泣いて、立ち会いのしらゆきさんを困らせたような記憶が朧気に残っている。ただ、さすがのベテランと言うべきか、彼の気性ゆえか、あれこれと世話を焼かれている内にすっかり機嫌が治っていだから不思議なものだ。僕では同じように出来ないだろうと思う。艤装中に〝ふゆづき〟の舞鶴配備を知ってからは生まれ故郷とのことでしばらくご無沙汰だけど、と注を入れながらも馴染みの店をいくつか教えてくれたりもした。就役後に訪れると既に閉めているところも多くあったけれど、続いているところの中には自分も気に入って、通っているところもある。出港中ですぐには叶わないけれど帰ったら久しぶりに買いに行くのを楽しみにしていようと思う。
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