うちのおふね 2020/07
ふねらしい形に組み上がってくるころになると幼いこどもの姿をした存在が現れる。僕のことを僕の兄が見付けてくれたように、いま造られている護衛艦(らしいこども)をぶんごさんが抱いて戻ってきたのが先日のこと。話を聞いたところ、なんとなく気になって本体を見ているといつの間にか隣にいたらしい。
2020/09
はじめのうちはほとんど眠っていた子も少しずつ動き回るようになった。でもまだお喋りは出来ない。こちらからの声は届いている様だしたぶん理解もしているけど、正式に命名されるまではそんな感じらしい。それ以上に、人間からはまだ見えないからぶつかってしまわないよう目を配るのが思ったより大変。
2020/11
命名されてしばらくの間、ぼんやりとしていた視界や、音や、感触が一気に飛び込んでくる。それはもう目眩がするくらいだったと自分の時を思い返す。くまのが触れる鮮やかな世界に、それまでの思い出が上書きされてしまう前に帰って来れて良かった。もう忘れられていたらどうしようかと心配だったから。
2021/03
くまのは半年の間にぐっと背丈が伸びた。先日も急に伸びたせいか少しバランスを取り辛そうにしていたのを、並んで歩いていたときに気付いたのだった。背は伸びてもまだまだ幼さの残る顔を見つつ、この先しばらく様子を見られないのが寂しいな。僕の方が少し泣きそうになりながら、またねと手を振って。