Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    片桐(桐)

    @kiriri_kata040

    レイチュリの妄想壁打ち

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 2

    片桐(桐)

    ☆quiet follow

    Twitterに載せたあらよるパロ設定の出会いシーンだけ書いてみました!

    あらよるパロのレイチュリ〈キャラ設定〉
    カカワーシャ
    遊牧民であるヤギ族の少年?強運の持ち主で、イヌワシ族のカティカに勝負を仕掛けては勝ち続け、逞しく生きている。家族は姉のみ。少年時代、嵐の夜に出会ったオオカミ族のベリタスと友達になる。


    ベリタス・レイシオ
    縄張りと厳しい一族掟の中で生きるオオカミ族の少年。頭が良く、なぜ捕食する者される者がいるのか、生物の食物連鎖に疑問を抱いている。カカワーシャは友達だと思っていたが、あることがきっかけで嵐の日の記憶を失っている。


    ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

    その夜は、ひどい嵐だった。
    びしょ濡れになったヤギ族のカカワーシャは、ボロボロの山小屋を見つけて潜り込んだ。
    中も雨漏りをしていて、時折ぴちょんぴちょんと水音が響く。
    「あーあ、父さんから譲ってもらった服がびちゃびちゃだ」
    カカワーシャは上着を脱いでぎゅっと絞ると、ジャバジャバと水が流れた。暖炉のそばに転がっていた椅子に上着をかけて身を抱き寄せる。濡れた身体を転がっていた布で拭くと、少しだけ体温が蘇ってくる。今が冬ではなく、暖かな春の日で本当によかった。冬だったらきっと凍え死んでいただろう。
    「それにしても止まないなぁ」
    このまま山を降りれば、また足を滑られせてしまうかもしれない。姉は心配しているだろうが、大雨の中へ飛び出した方が危険だ。カカワーシャは仕方なく山小屋で一夜を過ごすことに決めた。
    この嵐の中なら、天敵のオオカミ族やイヌワシ族にも山を徘徊することはない。それに雨に紛れてヤギ族の匂いはかき消されて、捕まることもないだろう。
    まあ、こんな嵐じゃなくてもカカワーシャは捕まることなんてない自信がある。
    カカワーシャはとても運がいい。
    幼い頃に親を亡くして姉と二人で生きているカカワーシャにとって強運は最大の武器だ。生まれてから駆け引きで負けたことは一度たりもない。きっと地母神の加護があるのだと村のみんなは言っていた。
    今日もいつもと同じようにイヌワシ族のカティカと賭けをして非常食と銅貨を勝ち取ってきた。このまま村へご馳走と宝を持って帰れると思った矢先の出来事だった。
    「あーあ、ついてないなぁ」
    とりあえず夜が明けて雨がおさまれば帰れるだろう。
    カカワーシャが疲れ切って、うとうとと眠くなってきた時だった。バタンと、雷が落ちるのとは違う音で目が覚めた。玄関扉が開いて稲光に照らされた影が見えるが、種族までは分からない。しかし確実にこの山小屋に入ってきたのだ。
    ゴロゴロゴロゴロ!!
    「うわぁぁ」
    「ぎゃぁぁ」
    カカワーシャは大きな雷の音で悲鳴を上げた。入ってきたやつも同じように悲鳴を上げた。
    「あの、誰かいるんですか?」
    入ってきたやつがカカワーシャがいることに気がついたのか、恐る恐る声をかけてきた。まだ子どもの声で、もしかしたらカカワーシャと同い年くらいなのかもしれない。カカワーシャは勇気を振り絞って声に応えることにした。
    「こんばんは。あの、僕も雨宿りをしているんです。でも怖がらないで。何もしません。雨が止んだら帰ります」
    「そうだったんですか。先客がいたのにすみません」
    「いえいえ、気にしないでください」
    軽い会話を交わしたあと、また沈黙が訪れる。
    外はゴーゴーと雨風が音を立てていて、闇が飲み込みそうで恐ろしい。気を紛らわせるために歌でも歌おうかと思っていたときだった。
    「あの……」
    「はっ、はい!」
    「すみません、驚かせてしまって」
    「い、いえいえ! なんですか?」
    「なんか話でもしませんか?やることもないし、音が凄くて眠れないので」
    「そうですね!じゃあ、なぜあなたはこの山へ来たんですか?」 
    「ああ、この辺りは他の種族がたくさんいるって聞いてきたんです。僕は他の種族にも興味があって独学で研究しているんで」
    「へえ、すごい学舎さんなんですね!」
    「いやいや、まだ11歳なので。学者じゃないというか」
    「え⁉︎ 僕と同じ子ども?すごいや!」
    「えっ、あなた……君も子どもだったのか。こんなところまで1人で?」
    「この辺りは美味しいものがたくさんあるからたまに来るんだ」
    「すごいんだね、君は」
    「えへへ」
    共通点が見つかれば、自然と話に花が咲いた。この山のこと、家族のこと、どの季節が好きかという話題ではお互い春と答えて意気投合した。カカワーシャは自分がイヌワシ族と賭けをして勝った話をすると、彼は手を叩いて賞賛の言葉をくれた。カカワーシャもすっかりこの見えない人を友達のように感じていた。
    外はまだゴロゴロと唸りを上げているが、そんなことももう怖くはなかった。
    「それにしても雷も止まないね」
    「うん。だけど、段々と音が鳴る感覚が長くなってきている。きっとあと少しで雷はどこかへ行ってしまうよ」
    「へぇ。さすが詳しいんだね! あ、ねぇ君。名前を教えてくれよ。僕たち絶対いい友達になれると思うんだ」
    「名前は……。すまないが、一族の掟で教えることはできない」
    「そうか、残念」
    あんなに楽しかった時間があっけなく終わって、また沈黙に変わってしまった。カカワーシャはそれが寂しくて、別の提案をしようと考えた。
    「じゃあ、あだ名で呼ぶのはどうかな?」
    「あだ名?」
    「そう。それなら掟を破らないだろう?」
    「……うん。それなら大丈夫、だと思う」
    「よかった。じゃあ君は、いろんなことに詳しいから『教授』って呼ぶのはどうだい?」
    「教授? 先生じゃなく?」
    「先生よりも頭良さそうじゃないか。だから教授」
    「うん。いいね、気に入った。じゃあ君は……ギャンブラーだな」
    「えー。なんか悪いヤツみたいじゃないか!」
    「ふふ、君はあのイヌワシすら騙してしまうんだろう? 強運を賭けるギャンブラーってカッコいいじゃないか」
    言われてみればなんかカッコいい気がする。
    「うん、じゃあいいよ。僕は『ギャンブラー』で!」
    「あはは。でもあだ名というか、スパイのコードネームみたいだ」
    教授の笑い声が山小屋に響いた。
    カカワーシャもつられて大笑いした。
    外からはもう雷の鳴る音も雨が打ちつける音もしなかった。
    「雨、止んだみたいだね」
    「うん。もうすぐ夜明けの時間だ」
    それはこの時間が終わるという合図。完全に夜が明ければ天敵も現れるかもしれない。その前にここを出ないとならないのだが、二人は動けずにいた。ここを出たら、もう二度と会うことはないかもしれない、そう思って動けずにいたのだ。
    「なぁ、ギャンブラー。約束しないかい?」
    「なにを?」
    「梅雨が終わって最初に夏の風が吹いた日の昼に、またこの山小屋の前で会おう」
    「えっ。でも」 
    「それまで君がどんな種族なのか聞かない。どんな姿でも絶対に友達でいると誓う」
    声しか聞こえないが、教授の決意のようなものを感じる声色だった。カカワーシャは彼を信じることを決めた。
    「うん、わかった」
    教授の短いため息が聞こえて、ホッとした空気を感じる。カカワーシャもこのまま彼と別れるのはつらかった。教授がどんな種族だって、友達でいられる自信はある。だからこの約束は嬉しかったのだ。
    「じゃあ、約束だ」
    「うん、約束」
    そうやって二人は別々の方向へと歩き始めた。
    少し歩いていると、よくやく月が出てきた。
    「これで迷うこともないや。よかった、やっぱり僕は運がいい」
    まだ濡れている父親の肩身を服をぎゅっと抱きしめて、姉の待つ家路を急いだ。


    「教授か、ふふ」
    他の種族からは怖がられ、一族からは変わり者とされていた彼ーーベリタスにとって、ギャンブラーは初めてできた友達だった。
    どんな種族か分からないが、話からイヌワシ族ではない。もしも捕食の種族だったらとは思う。ベリタスにとっては捕食する種族、捕食される種族の違いは理解できない。同じ生き物なのにと疑問にすら思っている。だからこそ、彼とは『友達』になりたいと強く思ったのだ。
    これから訪れる梅雨、そして約束の夏。
    彼との再会を楽しみに、ベリタスは普段なら息苦しさの感じる村への道も足取り軽く感じるのだった。

    梅雨が終わって最初に夏の風が強く吹いた日、教授は山小屋には来なかった。
    次の年にはカカワーシャたち遊牧民は移動することになってそれ以来、あの山小屋には行ってない。
    季節は巡り。二人が再会するのは、それから十年以上経ったある日ーー種族を超えて優秀な者を採用する宇宙一の組織・スターピースカンパニーのある会議の場所であった。

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

    このあと、カンパニーでカカワーシャとベリタスは再会するんだけど、ベリタスには記憶がなくて疎まれたりしちゃう。しかも捕食する側される側で本能的に襲っちゃったりみたいな展開が見たい!
    アベンチュリン「君になら食べられてもいいよ」(抱かれてもいいみたいな)のセリフは絶対見たい!

    あらしのよるにパロと言いながら、最終的にビースターズパロになっちゃいましたw
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    👏💞💞💞💞💞💞💞☺☺👏👏❤💞💘☺🙏👏
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works