あなたとひみつのはなし 子供にとって大人とは、見た目とか年齢なんかの分かりやすい記号があること以上に、ちゃんとしているかどうか、ということだと思う。次には能力で、経験値の差、みたいのを見せつけられるとやっぱり大人ってスゲーなぁって思う。もちろん、そんな年の差でマウント取ってきたりされると、大人って汚ねーなって思うこともあるけど。
ともかく、つまり、俺にとってナナミンという存在は、そのちょっとばかり面倒くさがりなところも含めて見本のような「大人」だったので、そんな彼は何だってそこそこにこなしてしまうんだろうな、と勝手に思っていた。
でも、そんな大人の男は、かれこれ二分近く四品ぐらいしかないはずのメニュー表とにらめっこをしている。どれを食べようか悩ましい、というのとはたぶん、違うなっていうのはわかる。普段パンを食べる順番を真剣に選んでる時なんかとは、なんとなく空気が違うからだ。
1998