24/05/26「おはよう獅子の君。おや?前髪が一か月前より一センチ伸びているようだね…それでは視界が妨げられてしまうよ」
教室に入るや否やどこからともなく現れたルークにそう言われ、レオナはわかりやすく眉を顰めた。
「…うるせぇな、ほっとけ」
「ノン、そうはいかないよ。そのままで困るのは君なのだから…」
いろいろとね、と含み笑いをされるとカッと頭に血が昇った。
ルークが三年に上がり、レオナと同じクラスになってから、レオナはなにをしていてもルークの気配を感じるようになっていた。じわりと溜まったフラストレーションを隠すことなくグルルと威嚇するも、ルークはハッハッハと楽しそうに笑い、興を削がれたレオナは行き場がなくなった苛立ちを舌打ちにして吐き出す。最近はその繰り返しだ。そしてそれは今回も同じだった。
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