今日は夕飯時に三人の時間が合うということで、たまには外で食べようという話になっていた。吉田の仕事上がりに合わせて、三木とクラージィは共に待ち合わせ場所まで向かう。
普段あまり使わない通りに出たとき、悲鳴が上がった。伝染するように幾人かの声が連続する中、ひときわ悲痛な響きが届く。
「うぱちゃん!おちついて!」
小型犬が一匹激しくうなりを上げていた。なだめようと呼びかけているのは飼い主か。
ただ怒っているのではない。仮性吸血鬼だ
日頃、自分が巻き込まれなければ依頼以外の退治に関わることはほぼなかったが、さすがにこれは見過ごせない。
飛び出そうとした隣で殺気が膨れ上がる。
三木より一歩早くクラージィが走り出す。
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