ようやくドラウスとクラージィを対面させることができて、ノースディンは胸を撫でおろした。
二人を引き合わせたのは、当然一族の次期当主に新しい一員を紹介するためだが、なによりドラウスがクラージィに会いたがったからだ。そして、ノースディンにも会ってほしい理由があった。
どこでどうなったのか、クラージィはノースディンの知らぬ間に目覚めてシンヨコに辿り着いて、あの町で吸血鬼としての生を始めた。
あの町のおかげで吸血鬼としての暮らしで躓くようなことはないが、あの町のせいで吸血鬼の知識がたいがい変態になる。
悪魔祓いとしてどれだけ高等吸血鬼とやりあったのかしらないが、吸血鬼の基本能力をどれほど把握しているのか。自分にできることの範囲が人間の感覚から抜けきってないように見える。
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