初めて足を踏み入れた部屋で、ノースディンは床に腰を下ろした。クラージィを抱きかかえたままだ。横たえるのが恐ろしくて、寝床を探すことすらしない。
時が経つのがこんなに遅いと思ったことはない。
焦れば室内を冷やしてしまう。冷静を保つために無心に務める。
空調は入れた。
壁に上着がかけてあるのを見つけて、引き寄せてクラージィの体にかけてやる。
大丈夫。
あの人間たちの言葉にすがるのではない。
一度目覚めたのだ。たとえまた二百年待つとしても、今度は離さなければいい。
どれほど経っただろう。
実際は月もそれほど動いてないほど。
身じろぎを感じた。
腕の中であの夜開かなかった瞼が開く。
ノースディンと同じ色の瞳が覗く。
暗闇の中で、互いの姿をしっかりと捉えた。
「ノースディン…?」
「おはようクラージィ。私の血族」
私の唯一