シンヨコの桜もあちこちで咲き揃い、週末は満開だろうと予想が出ていた。
散歩に繰り出した神在月は、待ち合わせていた三木と合流する。今日は販売員の仕事だったという三木は、手土産に今日の担当の桜餅を持ってきた。お隣さん達への分もあると、紙袋を提げている。せっかく平日の夜に出歩ける身なので、桜見物でブラブラしようという話になっていた。川沿いの土手の桜並木を、男二人のそぞろ歩きだ。
土手下の道に街灯はあるが、桜をライトアップするためのものではない。土手の上は暗くて、そのせいだろう、満開といっていいのに、人の姿はちらほらとある程度だ。手元に灯りを持っているのが人間だろう。神在月も散歩用のライトで自分たちの足元を照らす。
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