花火のように※渉あんです!
スケジュールの都合で、今回の『英智デー』は夜の八時から開始される。あんずが衣装の材料を見るために市外へ出ているためだった。
日がずいぶん長くなったので、夜の七時でもまだ少し明るい。渉は一足先に会場へ到着していた。
「少し早かったみたいですねぇ……けれど準備をしていればみなさんいらっしゃるでしょう」
そうひとりごちると、持ってきた荷物をベンチに置いた。そして青いバケツを手に、水道の通っているところへ向かって歩いていく。おそらく台車はなくても大丈夫な距離だ。
蛇口を捻ろうとした時、向かってくる人影があった。その人影が、今日のスケジュールを夜にした張本人であることに気づいた渉は、彼女を盛大に出迎えた。
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