頂点に輝く星は暖房の効いたマンションの一室で、イミテーションのモミの木が組み立てられていた。あんずの背よりも低い、かわいらしいサイズのもので、毎年やっているからと、手際よく作業をしている。そこへ部屋の飾りを終えた英智が歩み寄り、あんずに声をかけた。
「さすがだね」
「この箱の中に入ってるので、飾り付けをお願いします」
「わかったよ」
オーナメントが入った箱を木の近くに寄せて開封する。その中の状態に、英智は目を見開いて驚いた。最後に飾る大きな金色の星が中央で陣取っていたからだ。
今はほかの装飾を施すのが先だ。だからそれは一旦取り出すべきと、そう考えてはいるのだが、英智は手を動かせず、じっとその星を眺め続けている。
「英智さん、具合でも悪いですか?」
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