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    ak0cc0_dct

    @ak0cc0_dct

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    DONE【蒼まど】ドライビングシアター
    たまにはドライバー設定を出したくなるのです(2020/11/15)
    ガチガチ、と音を立ててサイドブレーキを引く。次いでキーを回せば、そこは移動手段から密室へと姿を替えた。
    シートベルトを外し、シートを後ろへ倒し運転ではまずしない姿勢になる。
    ふう、と一息をつきながら前を見ると、フロントガラスの向こう側に何台かの車と白いスクリーンが見えていた。
    「こうしてみると、不思議な光景だね」
    映画館よりも少し遠い隣からまどかさんの声が聴こえる。
    ドライビングシアターの催しは、彼女が見つけてきたものだった。せっかく予定もないしと車を走らせること1時間。海沿いにある商業施設の駐車場の一画に作られたスペースにあるそこは俺たちの後ろにも続々と車が着きはじめていた。
    「ねえ、まどかさん」
    「ひゃっ! なに?どうしたの?」
    映画館ではできないことをする。触れた頬が熱を持っていた。こちらへ顔を向けてきた彼女へ、素直な気持ちを打ち明ける。
    「ちょっと遠いな、って」
    「それはそうだよ。ここは家じゃないもん」
    「そうだね。ごめん、困らせるつもりはなかったんだけど」
    夕闇と海とで普段にない色合いに照らされた彼女が、ただ綺麗で見つめてしまう。
    「蒼星くん?」
    「映画までの間だけ」
    「…… 603

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    DONE【蒼まど】君の香りは薔薇色吐息
    セルフバースデープレゼントに自分が好きなふたりの話を書いたやつ。元ネタは昴くんのPM。(2020/11/03)
    「さっき廊下でハンカチを拾ったんだけど、多分まどかのだと思うんだ」
    事務所で仕事をしていてたまたま耳に入った――というか、大声なので自然と耳に入った会話に、ん? と意識を向ける。向かいのデスクで仕事をしていた響也も同じ事を思ったのかその顔があがっていた。
    振り向いた視線の先には、ミーティングテーブルに座っている伊織と昴の姿が見える。昴は何かに緊張しているかのように肩をいからせて手を膝の上に置き、テーブルに置いている件のハンカチを睨んでいた。伊織も確かに、と相槌を打つ。
    「レースがついたデザインでは、女性のものだろうな」
    「でもさ!このあいだそうやってまどかに聞いてみたら、仁さんので……」
    「ほう……」
    あの伊織が息を呑んで神妙そうな表情になっていた。わからなくもない。
    本人に聞いて二度地雷を踏むのを躊躇っている男は、あ~~っと声をあげて頭を掻きつつもう一度ハンカチを睨んでいる。
    前へ向き直れば響也が肘を机につき、掌を顎を乗せて含みのある笑顔でこちらを見ていた。どう見てもこちらの出方を伺っているかのような表情を無視して声をかけようかと思った、とき。
    「あとこれ、今はわからないけど拾ったと 1486

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    REHABILIストレッチと癒しの話
    3部くらいのふたり
    数日空けて稽古場に入る際、必ず受ける儀式がある。
    「おはよう、蒼星。きちんと三十分前に来たね」
    貴方がちゃっかり早く来ることを知ってますからね。仁さん。と言える立場ではない。
    「お願いできますか」
    「うん、じゃあいつも通り俺の前へ脚を揃えて座って」
    「はい」
    行くよ、という声と共に背中を押される。途中までしか曲がらない。脚を開いてももう少しと言ったところ。胡座をかいて、膝が床へつくかも見る。
    今のは股関節の例だが、こんな風にして彼から隅から隅まで身体の具合を確認されるというのが、出張などで稽古に穴が空いた後の通例だった。
    「今回は右上腕と、左の股関節かな。デスクワークが多かったから仕方がないのかもしれないけど」
    ストレッチは忘れないでね、と首の後ろを揉まれる。
    「ありがとうございます……」
    マッサージの要領なので素直に気持ちいい。凝り固まったままの筋肉があるのは宜しくない、と言われている以上は素直に頷くほかなかった。


    「それで、ストレッチ?」
    「うん」
    彼女の部屋の床はうちと違ってフローリングではないので直接座ることができる。先にお風呂を使わせてもらっていたから、彼女があがってくる 1191