リーバルとメドーとやきもち「ミ、ファ…ミ、ファ……」
メドーの頭の上、お城で聞かされたゾーラの英傑の為に作られた曲を口ずさむ。
「あのシーカー族の詩人クン…姫が言うだけあって中々センスあるじゃないか」
清らかな水のせせらぎを思わせる優美な旋律に、"彼女"もどこか喜んでいるようだった。
「君もこの曲が気に入ったのかい?……メドー」
僕の問いに、風の神獣ははにかむように柔らかく囀る。
「――僕の曲はないのかって? ……英傑リーバルを讃える詩はとても難産らしくて、まだ出来上がってないんだってさ」
楽しみにしてたのに酷いよねと、同意を求めればキュルと苦笑するようにメドーは鳴く。
《――……、……?》
「――え? ゾーラの英傑はこの曲を聴いてどうだったって?」
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