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    rara_wcat

    SS進捗や二次短歌の下書きのスクショなどの置き場。絵は殆どないし下手絵だけです。

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    rara_wcat

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    書きかけでそのままになってたSSをお焚き上げ。
    腐敗したバナナに怨念と同じものを見出してテンション上がっちゃうアス君書きたかったんだけど難しかった…

    ##SS書きかけ

     食べ損ねていたバナナが一本、遂に腐ってしまった。
     頭領に押し付けられた一房はその時既に斑点が目立っていたから、この未来は星を見るまでもなく決定していた。
     寧ろこの結末に至った不幸なバナナを一本だけに留めた自分を褒めてやりたい。
     アジト恒例である毎食のバナナづくしで悲鳴をあげている胃腸に更に鞭打ってここまで減らしたのだから。

    「――全く、面倒なことこの上ない」

     改めて腐ったソレをしげしげと見つめる。
     黄色かった皮は黒く変色しきっていて死病にかかった老人のように弱々しくテーブルに横たわっていた。
     腐敗臭もする。
     中の方ももう2割がた液状化しているのだろう。

    「廃棄する他ないようだな」

     頭領の懐刀であるあの男に小言を言われるのが容易に想像出来て思わず溜息が出た。

    「さて……どうしようか」

     早々に処分しなければならないのだが、少しだけこの腐ったバナナに興味をそそられた。
     というのも、腐るまでに少しずつ皮を黒くしていったコレにどこか厄災の怨念に侵されたモノと似たものを感じたからだ。
     まだ原型を留めてる方から恐る恐る皮を剥くと、思わず目を背けたくなるような匂いが顔面をよぎった。
     腐ったバナナが死病にかかった老人なら中身はそれこそ死病そのものだった。

    「――――」

     誘われるように、強い腐敗臭を放つソレを鷲掴む。
     グチャリと不快な音が聞こえ、その感触に今までの様々な出来事が脳裏をよぎる。
     憎悪という感情を幼い体に刻みこんだ渇いた夜明け前、初めて人を殺めた豪雨の昼下がり、怨念の泥に直接触れたあの素晴らしい紅い月の夜……。
     恍惚とした香りを帯びて蠱惑的に浮かび上がる。

    「…フフッ……」

     この腐ったバナナは怨念そのものだ。
     地に落ちて種が芽吹く訳でもなく、食される訳でもなく、ただただ腐る為だけに生まれたバナナは忌み嫌われるカタチへと変幻したのだ。

    「…フハハハ…ッ……!」

     果実でさえ腐れば自ら怨念のようなものになり果ててしまうのだ。
     動物や人も死ねばきっと同様の事が起こるだろう。
     その事実がただただ愉快でたまらなかった。
     どんなに取り繕うが生きとし生けるもの全て怨念となる因子を持っているのだ。
     であるならば、生きている内に厄災ガノンの供物に捧げても何ら問題はない。ただ怨念の一部となる時期を早めただけなのだから。
     己と、そして厄災ガノンの行っている事の正当性を腐ったバナナが示してくれたのだ。


    ……ここまで
    あと少しが書けないんだよなあ…
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    recommended works

    sakikuryo

    REHABILI高杉社長について書きたい咲紅さんはあの川の土手にいっせいに彼岸花が咲く頃、国道にかかるしろい歩道橋の上で認めざるを得なかった変容についての話をしてください。

    #さみしいなにかをかく #shindanmaker
    https://shindanmaker.com/595943
    社長+ぐだ謎の時空の謎のレイシフトだと思ってふわっと読むことを推奨
    社長+ぐだ
    ぐだの性別はふわっと不問

    ==
     股の下をくぐって大型車が何台も行き来するというのは、ことによると吹っ飛ばされそうな心許無さを感ずるものらしいが、その点、高杉は状況をいくらでも楽しむ度量があった。酔狂と言い換えてもいい。直接触れたわけでもないのに、アスファルトの振動が柱を伝って、片側二車線道路を大きく跨いだ歩行者用の橋を震わせる。
     歩道橋のさびた手摺を掴み、うわあ、と小さく呟いたマスターはと言えば、ワイバーンに追われている時よりも、ともすると、危機感めいたものを横顔に湛えている。おかしなやつだ。高杉はそう思って、しかしふと、よく知っているからこそ怖いこともあるのだろうと思い直した。ピストルを不用意にべたべた触るのはピストルが何なのか知らないからだ。絵巻の中の妖怪にできることだってたかが知れている。高杉にとっては呪いの類よりも刀のほうが、生々しく死を感じさせるものだったし、あるいは畳に敷かれた布団のほうがおぞましく生を鈍らせるものだった。自分より百年か二百年、後の世に生まれたマスターなら、巨大なイソギンチャク以上にお四トントラックが恐ろしいことだってあるのだろう。
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