【Case:雷】
黒い霧が立ち込める談話室。
異様な光景、原因は明白だった。
アレだけ教師が気を張ってもこの事態なのか。
「散らせ…!」
短い詠唱で魔法を発動する。
魔法は使えない。が、魔具の類は使用できる。
足に仕込んだのは風の魔法を起こす陣だ。
持ち前の脚力と魔法の風。合わさって竜巻のような突風があたりの霧を一気に晴らす。
怯えた生徒の目線の先、チカリと光る赤。
ーー変種マールスタピルス
「見つけたぞ!!」
眼帯を勢いよく外し、その獣に向かって蹴りを入れる。
(ここで潰す)
魔法も何もかかっていない純粋な蹴り。
だけどその大きさの生物を仕留めるには十分な力を込めた。
結果、一撃は空振りに終わりマールスタピルスは逃げてしまった。
2094