つながり「好きだ」
と、
この人はよく言う。
「それはどうも」
と返すのがお決まり、だったけれど──
ある時ふと、
「どうして?」
と、聞いてみた。
そうしたら、向こうは、驚くでもなく、困るでもなく、小さく頷いてゆるく微笑みながら、こう、言った。
「縁もゆかりも、そして血の繋がりもない、赤の他人なのに、それなのに、縁やゆかり、そして血の繋がりがある人物と同等かともすればそれ以上に、大事な存在だからだ」
それを聞いて、目を丸くしたのは僕の方。
「そして、叶うのならば一瞬たりとも逃さず共に居たいと望まずにはいられない、そういう存在は、お前だけだ」
ゆっくりと伸ばされた手のひら、は、あたたかい、けれど、多分触れられた僕の頬の方が、あつい。
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