フーイル小説のつづき落ち葉まみれになっている庭を見て、イルーゾォは苦笑した。庭の木々の葉だけでなく、近くの林から飛んできたものもある。壁のツタも剪定したので、集めれば結構な量だ。鉢植えの植え替えもある。もし自分が目覚めていなかったら、フーゴはこれも一人でやらなければならなかった。あいつはちょっぴり運がいい。
それにしても長閑すぎる。田舎の屋敷に住んで手ずから庭の手入れだなんて、まるでじじいの隠居生活だとイルーゾォは思った。もう暗殺など請け負う気はさらさらないので似たようなものだけれど。春になればまた様々な花が咲く。パーゴラのモッコウバラの下で、フーゴと庭を肴にワイングラスでも傾けようか。その前に、その辺へ野生のアスパラガスを採りに行くのも悪くない。何にせよ、じじいの隠居生活ぶりにますます磨きがかかるな、とイルーゾォはくつくつ笑った。この調子では、そのうち庭で野菜を作り始めるかもしれない。
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