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    時緒🍴自家通販実施中

    短い話を放り込んでおくところ。
    SSページメーカーでtwitterに投稿したものの文字版が多いです。
    無断転載禁止。

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    TRAININGお題 18時【明日の約束・一番星・子供みたいに】
    諫早の祭りに行こうと誘う狡噛さんと、そんな誘いに思い出を残すためじゃないかと勘繰ってしまう宜野座さんのお話です。お酒を飲みながら仕事の話をしたり、ぽつぽつ先のことを話す割と甘い狡宜です。
    光とゆうつづ「なぁ、今月末、諫早に祭りに行かないか?」
     まるで子どもが気まぐれに明日の遊びの約束をするように、そう狡噛がこちらに言い放ったのは、彼が俺の部屋を訪れてしばらく経った、土曜の夕暮れ時のことだった。狡噛は窓際に置いたソファに座り、真剣な目でじっと俺を見つめていた。一方の俺はその時父の遺した酒を氷の入った二つのロックグラスに開けていて、飴色がたたえられたそれを一つ彼に差し出し出すところだった。でも、急な誘いに思わず手をすべらせそうになってしまったのを、今でもあの時の彼の表情とともに印象的に覚えている。
     単純な言葉だったというのに、その誘いに俺はすぐには答えられなかった。というのも、月末はずいぶん先の話だったし、仕事柄イレギュラーが多かったから、予定を組むのが難しかったという事務的な理由があったのだ。花城に話したら調整してくれるだろうとも思ったけれど、彼がわざわざ言い出すことなのだからと、俺は勘繰ってしまった。例えば、またどこか遠くに行ってしまうのではないか、その前触れなんじゃないか、だから最後に特別な思い出を作ろうとしているんじゃないかって、恋人を信用しない馬鹿げたことを思ったのだ。
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    TRAININGお題 15時【お菓子・どこからともなく・油断】
    インド系の入国者の事件を解決した行動課。関係者からもらった紅茶で一息つこうと言う花城から隠れていちゃいちゃする狡宜のお話。実在の団体名が登場しますがフィクションです。狡噛さんがいたずらっ子な感じです。
    15時、チャイの下で「こんな時間だし、そろそろ休憩にしましょうか」
     そう花城が言ったのは、行動課のオフィスにかかった時計の針が十五時をさした時のことだった。
     ここにおいて、こういった休憩は珍しくない。というのも、俺たちはあくまでも実働部隊だったので、事件が起こらない日はくだらないデスクワークにかかりきりになるだけで、はっきり言って暇だったからだ。他の課と折衝をする課長の花城だけがその例外だったが、彼女が休憩したいというのだからここは従っておくのが賢明だろう。
     須郷が立ち、無言でコーヒーサーバーに向かう。しかし花城は彼がカップを手に取ったところで止めて、「今日は紅茶にしない?」と言った。
    「紅茶、ですか?」
     須郷が言う。誰が決めたわけでもないが、このオフィスには泥水のようなどす黒くまずいコーヒーを飲むという習慣があった。そう、誰が決めたわけでもないのに、俺がここに来た時には既にそうなっていたのだ。もしかしたら外務省全ての課がそうなのかもしれない。とはいっても、食堂のコーヒーはもう少しましな味だったのだけれど。
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