いち、に、さん。最初はくちびるを触れ合わせるだけだった。ぎゅうと力一杯こめて目を閉じて、緊張しきったラハくんが口付けてくるのがかわいいと思った。だからキスのことは好きだし、彼も好きなようだったから、いっぱいするのはよいことだと思ったのだ。肌と肌が触れ合うのは、それだけで心地よい。なるほど、恋人同士のふれあいというものは素敵なものだ。
しばらくするとキスの時間が長くなったような気がした。こころよい時間はいくらあってもいいだろう。時折唇を舌が舐めていくのはくすぐったいけれど、頬に手を寄せて顔を撫でていったり、唇の形を確かめるように触れていったりされるのは、自分でも驚くほど馴染むことだった。すっかりこの人の手の皮膚の硬さと温度を覚えたのだ。
1246