すれちがうばかりのぼくら、出会いというには刹那の輝き なんて眩しくて困ったひと。この頃の私は、彼を見上げて、いいや、睨んでばかりいた。どうしてってそんなもの、いつだって太陽を背負ったひとだったから。憎らしいったらありゃしない。色素を持たない私の目では、正しく、彼の像は結べない。あのころ、どうしてか、彼と顔を合わせる日は、晴天ばかりだったように思う。霧の多いモードゥナで顔を合わせるというのに?……とにかく、私の大嫌いな、晴天。そう、私にとってグ・ラハ・ティアが苦々しい記憶と共に在るひとであるのは、そのせいなのだ。きっと、そうなのだ。
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クリスタルタワーの前門たる古代の民の迷宮の踏破は、調査団「ノア」にとっての大きな一歩であった。すなわち、宴である。この偉業を成し遂げた冒険者の一団には、美味しい思いをしてもらわなければならない。
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